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事務所名： 原田国際特許商標事務所 代表者： 原田貴史（代表弁理士） 事務所エリア： 埼玉県さいたま市 開業年： 2016年3月 従業員数： 約20名 URL： https://tokkyo-shinsei.com/ Q.貴事務所の事業について教えてください 「特許・商標事務所を経営する弁理士で、開業して9年目になります。開業2年目から商標申請の件数では埼玉県で1位、2020年には全国で大体3,400件ほど申請していますので、延べ数では大体1万件以上の商標申請をしている感じですね。現在は、生成AIやITをメインに取り扱っていて、関連の特許申請が年間約120件、商標申請が約1,300件という状況です。 また、補助金にも力を入れておりまして、補助金をフックに特許申請を受注するという戦略を採ってきました。特にものづくり補助金と弁理士は非常に相性が良かったので、弁理士業務以外のサービスをメインに加えて相乗効果を出して来た形です。そうすると、社労士部門があれば助成金や労務管理、採用支援といったニーズの高いサービスを提案ができますし、行政書士部門があればビザの申請も提案できるなと考え、1つの入口から広げて複数のサービスを組み合わせた一気通貫のサポートを展開できるように、ホールディングス化して体制を整えているところです。」 Q.「無人商標申請所」とはどのようなサービスですか？ 「商標申請の書類を簡単に作成できるサービスです。ユーザーが画面上で必要な項目を選択するだけで申請書類が自動生成され、その書類が当事務所に届き、こちらで電子申請を行うという流れになっていますので、ユーザーが自ら申請を行う手間は発生しません。また、弁理士への依頼と比較してかなりの低価格で商標申請ができるのも特徴です。 自分でやろうと思うと電子申請の環境を整えるのがまず大変ですし、紙による申請は別途3,000円ほどの手数料が掛かってしまいますので、ご自身で申請される場合と同等の費用なのにきちんとした申請ができるというサービスになっています。商標申請は7割近くが標準文字ではありますが、図形にも対応しておりますので、ロゴの画像を貼り付けていただくことで瞬時に申請書を生成することが可能です。」 Q.無人商標申請所の開発背景について教えてください 「開発の理由は大きく分けて2つあります。まず、事務所内の申請業務の手間を大幅に削減したいと考えたことです。申請書を自動で作成できるのはもちろんですが、例えばこれまでは商品コードを手作業で数えていたところ、システムが自動でカウントしてくれて超過する場合にはアラートを出してくれますので、スタッフも非常に喜んでくれていますね。実際に自社の業務を効率化できたシステムですから、外部ユーザーへも自信を持ってメリットを打ち出せます。 もう1つの理由は市場競争への対応で、既にAIを活用した商標調査サービスが安く提供されているため、商標登録の分野は価格競争が激しくなっているのが現状なんですね。その中で、より安価な価格設定が可能なシステムを作ることで市場の優位性を確保できると考えましたし、工数の削減によって受注すればした分だけほぼ利益になるため、結果的として安価なサービスを提供しても十分に黒字化できるモデルを実現することができました。値下げというとマイナスイメージで語られがちですが、私はコストが下がれば利用してくださる方も増えると考えています。 開発の裏話として、実は最初に開発を依頼した先がとんでもない業者でして、途中で業者を切り替えました。そこからはスムーズに進んだものの、開発会社の選定は非常に重要だなと思いましたね（笑）。」 Q.無人商標申請所が与える士業や補助金業務への影響は？ 「確かに、このサービスが普及すると一部の弁理士の業務は減るかもしれません。ただ、それ以上に、今まで弁理士に依頼せず自分で商標申請を行っていた層を取り込める可能性があると考えています。また、手軽に申請できるようになることで、これまで商標登録を考えていなかった人々にも利用してもらえるようになり、日本全体の商標登録数を増やすことにもつながるのではないでしょうか。簡単に申請ができるのであれば自社の利益を守ろうかな、と考える人も増えてくるように思います。 実際、通るか通らないかは別の話として、本人申請は割と多いんですよ。ですから、市場全体の拡大可能性を考えると、弁理士の仕事を奪うというよりも、むしろ新たなニーズを生み出して業界全体の活性化につながると思うんですよね。また、やはり商標は早いもの勝ちなので、当日中に申請できるメリットは大きいと思います。タッチの差で先に申請されてしまうということもありますし、クオリティを追求して出遅れてしまっては本末転倒ですからね。」 Q.商標登録出願業務と生成AIの今後の可能性は？ 「商標登録の分野は、比較的AIによる自動化が進みやすい領域の一つだと思います。広く士業の業界を見ても、これまでは弁護士へしていたような相談を生成AIチャットで聞くようになっている中で、申請もシステムに代替されていく流れはもう止まらないんじゃないでしょうか。特許申請にしても、現時点ではまだまだAI単体で申請書類が成立するレベルではないものの色々出てきてはいるので、ゆくゆくは分からないわけです。 基本的にテクノロジーが退化することはないでしょうから、そうなってきた時に食べていけなくなる弁理士が増える可能性もあるのかなというふうには思います。もし『無人商標申請所』を使いたいという弁理士さんがいらしたら、ヒアリングしてみたいですね。」 Q.これから生き残っていける士業事務所の条件とは？ 「例えば従業員が働きやすい環境を整えたり、従業員がパフォーマンスを維持できるような組織づくりや人材育成をするなど、気持ちよく働ける人材経営がきちんとできれば差別化になると思いますし、これは簡単に真似をされるようなものではありませんよね。 また、地域に根ざした事務所運営など、コミュニティに属して根を張った状態での貢献は、クライアントとも従業員とも関係性を深めていける相乗効果があるように思いますので、取り組まれても良いのではないでしょうか。あるいは、弊社のようにプロダクトを開発するのも1つの手かな、と思います。」 原田貴史 プロフィール 福岡県北九州市出身 1979年4月23日生まれ 現在43歳原田国際特許商標事務所 代表 大学生時代は、のめり込んだパチスロで最終的にアルバイト３名と、管理職１名にてパチスロチームを組織化。時給２万円になる。けれど、パチスロで稼ぐことの、虚しさ、社会になんら貢献できない後ろめたさに、全く充実感がない。 その後、最初の就職活動を迎える。２００社受けて決まったのはパチンコ屋への内定のみ。辛い就職活動の経験や「今までの自分の人生を変えたい。」との思いもあって、働きながら士業（弁理士）試験に挑戦することを一念発起する。 特許事務所に転職するも大企業からの要求通りにロボットのように毎日、出願書類を作成する日々。特許事務所での３年半の実務に際して、中小企業を支援したいという気持ちは、日々高まり、独立を決意。 開業後は、毎年１６０～２５０％の成長。開業４年で年商１億円、商標申請数が全国で２位の事務所に成長させる。