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平岡拓
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目次
Q.ChatGPTとはなにか?
「ざっくり”チャット形式で色々な会話・要望に答えてくれるAI”と表現されることが多いですが、解りやすく申し上げるとSiriやAlexaなど皆さんの端末に入っているAIに近しいですね。それらの会話精度や処理量、処理速度などのレベルがとてつもなく向上したもの、というイメージです。」
Q.ChatGPTの現在とその進化とは?
「まずChatGPTにもグレードというかレベルがありまして、話題が盛り上がりはじめた今年の頭あたりですとGPT3や3.5というバージョンが流行っていましたね。直近ではGPT4が出てきたのですが、これはもうかなり商業利用可能なレベルに来たな、という変化がありました。
この4が公開されたことによる破壊力というのはかなり凄くて、士業の方に解りやすい指標で申し上げますと、模擬試験ではありますがアメリカ統一司法試験(UEB)にGPT 3.5の時点では下位10%で不合格になるくらいの知能レベルだったところ、4になると上位10%で合格するくらいになってきているので、人間の中でもかなり優秀な回答をできるぐらいの頭脳を持っていると言っても良いかもしれません。
恐らくですが、GPT 5や6の開発やチューニングなども既に進んでいるとは思いますので、4を使用された皆さんの会話を学習することによって更に賢くなったものが、どんどん指数関数的な速度で成長を続けている筈です。このレベルまで思考の難易度が向上すると、法律的な分野も含めて膨大な情報を吸収して考えた上で回答するというような業務であれば、部分的には人よりもかなり高精度に動いてくれるようになりますので、これは結構破壊的な変化かなと思いますね。
プラグインに関しては、一言で申し上げるならChatGPT がプラットフォーム化したと私は認識しています。これまでは各サービスにChatGPT の機能を盛り込んでサービスを強化しようという方針だったのですが、もうChatGPT がプラグインを使って、つまりChatGPT 内で他のサービスを起動できるようになったんですよね。そうすると例えばわざわざGoogle検索を開く必要はなくて、ChatGPT に”Google検索でこれを検索してくれ”と聞くだけで、検索した上でまとめて答えくれたりしますので、もうユーザーはチャットのUIからわざわざ変わる必要がなくなってしまったということです。
ですからもう、今までのChatGPTをどう外部ツールに繋げるかという考えとは逆に、各サービスがChatGPT 上でいかに使ってもらえるか、という思想に変わり始めているということがあるかな、と思います。この変化は分かりやすくて、今までの例で言えばApp Storeが使いやすくてユーザーが増えてきたので、WEBアプリで作っていた人たちもネイティブアプリ化してApp Storeで出そう、という動きに遷移してきた現象と多分かなり似ていますね。Appleはプラットフォーム手数料を3割ほどに設定していますが、これが独占禁止法に触れるんじゃないかという問題になるくらいプラットフォーマーというものは強いですよね、開発サイドとしては利益が3割減るみたいな話ですので。まぁそれと同じ戦略を取ってきていて、自然に人が集まる仕組みが出来てきたということかと思います。
Chromeのプラグインに関しては、それほど特別視していません。と言いますのもGoogleブラウザを仮にサービスとして捉えた時に、そのブラウザにChatGPTの機能を盛り込むという点では、例えば求人媒体の会社さんがOpenAIを自社のサービスに組み込んで適切なリコメンドや応対を出来るようにする、という発想と多分かなり似ていて、Googleのブラウザに留まってもらうためにGoogleがChatGPTの力を借りているという構図になっているんですね。現状、Chromeのユーザー数はかなり多いので、ここでプラグインを作るということは有益ではあるのですが、これが徐々に逆転していくんじゃないかというのが先ほどのお話に通ずる部分です。願わくばGoogleは、BardというGoogleが開発した大規模言語モデルのAIを作ってプラグインなどを作って欲しい筈ですが、精度の問題などで後手に回っていますしね。」
Q.士業に与える現在の動きと現在のChatGPTの相談回答レベルは?
「以前、AIによる判例検索アシストなどが話題になりましたが、士業に限った話ではなく一般的に使えるサービスなんかも結構存在しているんですよね。PDFを読み込んで、ChatGPTがそれを踏まえた応対をしてくれるというもので、自社独自のドキュメントを読み込ませて動かせるという事はもう出来るようになってきていますので、法律の分野でも有効かなという風に思います。
あとはやはり、ちょうど昨日ChaGPTの未来を考えるといった主旨のウェビナーに参加させてもらっていたんですけれども、弁護士ドットコム株式会社が創設した”Professional Tech Lab”ですよね、ChatGPTが100万件レベルの過去データを読み込んで法律相談をしてくれるチャットは、事業を営む側としてもかなり注目度が高くて、結構”これ使ってみようかな”という人は経営者の中でも多いんだな、と皆さんのお話をお聞きしながら思っていました。
多分まだ公にはなっていないので、どんな感じかは使ってみないと評価できないということはあるものの、確かに経営者の方やスタートアップの方で、それほど複雑な部分の相談までは必要ないということであれば最初はこれだけ使えば良いのでは、という話も実際にありましたからね。一般的な応対、法律相談みたいなものは、徐々にもうChatGPTで本当に実務レベルでの活用が始まるんじゃないかな、とは思います。先ほどのお話のようにプラグインを逆に出してきたりして。
現在の流れは、情報を提供するということの価値がこの先どうなっていくのかも含めて、本来であれば士業に限らずかなり多くの職種の方が危機感を覚えるべき変化だな、と思います。私を含めですね。例えばプログラミングスクールを出たばかりのエンジニアを採用するくらいなら、ChatGPTにコードを書かせたほうが随分綺麗なものを爆速で休まずに笑顔で作ってくれますので。」
Q.今後、ChatGPTはどのように進化してくと思うか?
「日本においてChatGPTがどのくらい浸透していくかという話よりも、ChatGPT自体がどう進化していくのかという技術的な側面で申し上げますと、一旦プラットフォーム化して様々なサービスがChatGPT上で扱えるようになっていくとは思っています。ただ、ChatGPTのサービス思想は人類を滅ぼしたいというような発想ではなく、どちらかというと現在の業務で皆さんがやっていることを支援できる、人を支えるサービスになりたい、といったものですので、OpenAI社自体が職種を失くすようなアプリケーション等を作り出すという方向性は考え辛いのかなと。
彼らもそれほどアプリケーションレイヤーでやらない、戦わないということを言っているので、例えば自社でコードを書くことに特化したアプリなどをどんどん作って既存のサービスを淘汰していく、というようなことはあまり考えられないなと思っています。むしろ皆さんができることを増やすために、既存のビジネスをいかに巻き込んでいくかということをやっていくのではないでしょうか。
あとはChatGPTを学習させる上で凄く大事なデータセットがありますので、まさに日本版のGPTを作るというような話を少し前にサム・アルトマンCEOがされていましたよね。例えば国のオペレーションさえもGPTで助けましょうという動きに合意できるような国であれば、国が持っているデータセットをGPTに渡して学習してもらい、公務員の作業負担を減らすといったことが考えられると思います。
これはもう理想なのかもしれませんが、そのうちハードウェアの開発が進んでくるでしょうから、最終的にはGPTレベルの思考を持ち、人間のような手足を持ったロボットが誕生するかもしれません。チャットだけで出来ることには限りがありますし、ソフトウェアで完結する業務の範疇に留まってしまいますので、どんどんハードウェア側に行くんじゃないかなと思いますね。アルトマン氏もそうしたものに出資していたりしますので。
そうなり始めると、かなり労働力不足が解消されるでしょうし、最早エネルギー問題についても自分たちで核融合炉などを作り始めたり、原発による発電などの危険な業務はロボットがやって、サステナブルなエネルギー源を発見するような研究もやったりして、勝手にエネルギー問題や食料問題が解決されていくというのは、理想的な未来としてあるのかなと思います。」
京都府出身。立命館大学理工学部卒。投資銀行の内定を蹴って新卒でIT系スタートアップ企業に入社。インバウンド・アウトバウンドともに新規の法人営業を担当したのち、若干22歳でノーコードのスクール事業立ち上げに参画。初年度から黒字化。サービス設計、営業、マーケティング、講師業務、採用・育成等のサービスに関わる全業務を担当する。その後、国産ノーコードツールのプロダクトマネージャーを経て、現在はフリーランスのコンサルタントとして活動。中小企業から大手企業まで、様々な受託開発実績がある。