- 事務所名:
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服部行政法務事務所
- 代表者:
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服部真和(行政書士)
- 事務所エリア:
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京都府京都市
- 開業年:
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2009年9月
- 従業員数:
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1名
目次
Q.本書は、どのような書籍ですか?
「タイトルからは想像し難いと思うのですが、実は自己実現をどのように叶えるかという、自己啓発書なんですよ。前作の『できる社長の対人関係』では、相手のタイプ別にどのようにうまく付き合うかを分析するという内容でしたが、タイプ診断をご自身に使う方が非常に多かったんですね。そして”自分のくすぶっている理由が分かった”ですとか、”もやもやしている理由が分かった”、”やるべきことが分かった”という高評価のお声をたくさんいただきました。
結局、広報目的のおまけとして作ったはずの”セルフクセつよ診断”アプリがバズるという好評ぶりで、これを受けて出版社からは、自分自身に使うことをメインに続編を書きませんか?というオファーがあったんです。そういうことならと、自分のタイプを理解したい時にどうしたら良いのかを示すような本を作りました。
例えば自己実現が広い海の中で灯台を目指すようなものだとして、自分の価値観を活かす方向に専念すれば真っ直ぐ進めるはずなのですが、みんな進んではいるけれども、よそ見したり寄り道したり、場合によっては変なところへ行ったりして、いつまでも目指しているところにたどり着いていない人が多いよねという担当編集さんの意見が多く入っているのですね、情報も溢れていますし。これは当初「ビジネス防御術」と二人で呼んでいました。
そこで、自分のタイプを理解した上で、こんな風に積み上げていかないといけないよね、ということを書きたいわけですが、その前に1番の課題は、大前提としてオイシイ話に振り回されているという現状を暴くべきだということになりました。例えば、もともと音楽が好きで、音楽分野の著作権専門行政書士になろうと思って開業した人が、入会したての時に支部の飲み会に参加して、著作権なんて食えない、俺たちが食えてる自動車やれよ、相続やれよ、と言われて惑わされていくのと似ていますね。いわゆる士業のひよこ狩りもそういう煽り方をよく見かけます。
周りの先輩が良かれと思って言う分にはまだ良いのですが、コロナ禍なども補助金が釣りのような形で使われていて、SNSには”補助金業務で年収何億円を達成できます”といった発信が溢れすぎています。私や横須賀さんのように業界が長ければ、どの業務も浮き沈みがあるよね、と冷静に見ることができますが、本書にも書いている通り新人さんは割と不安や悩みを抱えている状態ですからね。
あるいは、お金儲けや客観的価値観にすごく振り回されてしまう人、本来自分が持っていた価値観を伸ばしていかなければいけないのに、SNSの”いいね数” や”フォロワー数”などの権威性に振り回されて、どんどんおかしな方向に行っている人も多いよね、という話を本書でしています。」
Q.本書を執筆したきっかけは?
「前著の編集をしてもらっている時点で、売れたら続編を作りましょうという話もあったんですが、ある程度売れて、やはり続編をという話になりました。当初は、タイプ別交渉術やタイプ別チームづくりのようなものを想定していましたが、先ほど触れた通り自分に対して使う人が多かったので、結果的には練り直した感じです。」
Q.本書の特長や、類書と違う点は?
「明確な類書は今のところ無い気がするのですが、裏コンセプトという意味であれば、編集者さんとはいつも、橘玲さん的な切り口でやろうと言っていたんですよ。橘さんの本は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』がよく知られていると思いますが、最近だと『バカと無知』が流行りましたよね、まさにその切り口です。本書のサブタイトル”オイシイ話はなぜ稼げないのか”からイメージが湧くと思うのですが、新書っぽい感じにしたかったんですよね。
実はこのサブタイトルがメインタイトルの候補のひとつでしたが、流石に前作と違いすぎるだろうということで現在のタイトルになりました。その際も、本当は『お金と時間の守り方』という表現にしたかったものの、ちょっと語呂が悪かったのでお金だけにしたんですよ。そういう点では、類書は投資で稼ぐ方法といったお金系になるんでしょうね。もう全方位に敵を作っている本になっているのかもしれません(笑)。
また、少し前には日経平均株価が大暴落しましたが、本書の販促時に触れていたので予言みたいに言われていて(笑)、先日の出版セミナーでも”なんで分かったんですか?”と聞かれました。書籍内のアプローチとしては相場を理解していないと異常値に気づけないよというアプローチなのですが、それは士業の業界でも同じなんですよね。例えば税理士の顧問料、税務申告、決算にしても、ある程度の相場がありますので、異常に高い・安いといったことはやはり裏があると思うべきだと思います。」
Q.本書はどのような人に向けて書きましたか?
「メインタイトル通り、個人事業主も含めた経営者であることは間違いないのですが、先程も言及した振り回されやすい人という文脈で言えば、これから起業する人や副業をはじめる人、あるいは夫の給料では不安なので何かはじめようと考えている主婦など、シロアリに資産を狙われてしまう可能性がある方々という感じでしょうか。
反響としては2つありまして、1つは服部さんがこんな本を書くなんて思わなかったです、というものですね。横須賀さんはしっくりくる中身だと言ってくださいましたが、それは多分人を見る目があるからで、一般的な方、特に行政書士としての私と関わりがない人からは世の中を優しく見ているイメージで捉えられているようで、”こんなこと考えてたんですか”みたいな感想を結構いただきました。逆にビジネスガチ勢からは”よく言った!”という感じですね(笑)。
昔、『買ってはいけない』という本が売れてハレーションがありましたし、最近も森永卓郎さんが『ザイム真理教』や『書いてはいけない』という本で話題ですが、本書はあまりハレーションにならないようにしないといけないよね、というのも担当の編集者さんと二人でよく考えたポイントです。どこかのインフルエンサーのように過激なことを言ったほうが売れるのかもしれませんが、本書ではそれ自体を批判していて、極端な意見を鵜呑みにするのはどうかといったことも書いています。極端な切り口に抵抗感があるような方にも読んでいただけるような内容だと思いますし、横須賀さんから”読後感が良い”という感想をいただけたことでそれが証明されたようで嬉しかったですね。」
Q.本書をどのように活用してほしい?
「自分はなかなか芽が出ない、キャリア形成が上手くできていなかったという方は、周りのノイズに惑わされていたんだな、という理解をまずはしていただきたいですね。やはり、自分が採用すべきコンテンツなり本なり講座なりをちゃんと選んでほしいです。本書の中でも繰り返し説いていますが、本当に自分を伸ばすべきことに集中して時間を使ってもらえたら誰でも輝けると私は思っていますので、実践していただけたらなと思っています。
士業に限った活用であっても似ていて、例えば名刺にみんなが食えていそうな業務を羅列している士業は多いですよね。私は新人に相談されたらいつも”それはあなたに向いている業務なの?”と尋ねます。例えば私であればスケジュール管理や事務作業に向いていない自覚があるので、頻繁に更新のある許可や変更届を出す機会が多い業種はあまり向いていません。自分のことを理解しているから新規事業創出系に全振りしているようなところがあるわけです。
1から10にするのはそれほど得意ではなく、0から1がすごく得意な、本書で言うとクリエイタータイプなので、法改正の対応も向いている、そうした自分の特性に合った業務の選び方、そしてその業務を伸ばすにはどういうシロアリに引っかからずに自分を活かしてくれる人たちとつながるか、これが大事だと思いますね。また、お客さんを守る一般教養として知っておくべき内容とも言えるのではないでしょうか。」
Q.本書を通じてのメッセージは?
「若手で開業した時、キャリアの踊り場に立った時、必ずどこかで不安になるタイミングがあると思います。本書で述べたように、不安な時ほど間違った判断をしやすいものですが、そういう時こそ本来の自分が持って生まれたものや、これまで積み重ねてきたものを信じて続ければ、必ず芽が出ると私は思っているんです。みなさんにも、少しそこを意識してほしいかなと思っていますね。」
1979年生まれ。京都府出身、中央大学法学部卒業。京都府行政書士会所属(常任理事)特定行政書士。日本行政書士会連合会(理事・デジタル推進本部 副本部長)。服部行政法務事務所所長。経済産業省認定 経営革新等支援機関。総務省電子政府推進員。ギター弾きとITコーディネータの兼業という異色の経歴から、行政書士に転向する。ソフトウェアやコンテンツなどクリエイティブな側面における権利関係を適切に処理する契約書や諸規程の作成を得意とし、アーティスト支援やスタートアップ支援を中心に活動。新規事業創出の場面を中心に、補助金や融資などの資金調達、経営改善、その他許可申請などの行政手続きを通して企業活動全般と法規制に関するコンサルティングを行っている。