『プロが教える潰れる会社のシグナル(横須賀輝尚 著)』
もしも会社が倒産してしまった場合、社長や社員はどうなってしまうのでしょうか? 「会社が倒産してしまったらどうなるか、その実態を知る人は多くないと思います。センシティブな話ですし、会社が潰れて苦労した経験は、限られた人にしか話さないでしょうからね。」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。会社を潰した社長と勤め先を失った社員のリアルとは?今回は、横須賀氏の著書『プロが教える潰れる会社のシグナル』より、再構成してお届けします。
■会社を潰した社長の「夜逃げ」
再建も清算も行わず、代表者が失踪してしまうのがいわゆる「夜逃げ」と呼ばれるものです。 これは代表者がほうぼうにもっとも迷惑をかけるやり方だといえるでしょう。 銀行から借りたお金を踏み倒し、社員への給料は支払わず、残った取り引きや債務も放置していなくなってしまう。これも倒産のリアルです。 代表者を捜索することもありますが、正直夜逃げされるとどうしようもありません。代表者の家族もろともいなくなってしまうケースもありますし、家族を残して代表者ひとりどこかに消えてしまうケースも。 例えば、自分の父親など実際に自分の家族に会社の代表者がいて、夜逃げされてしまった場合、経営者のその後は実に様々です。まったく連絡が取れず、生きているのか死んでいるのかさえわからないこともあれば、十数年後、ほとぼりが冷めたと考えひょっこり戻ってくる、なんてこともあるようです。 色々な形の倒産がある中で、再建型にせよ清算型にせよ、きちんとした終わらせ方をした経営者は再起してまた会社を興すことがありますが、夜逃げの場合だとこれがなかなか難しい。住居を借りるにもお金を借りるにも、記録が残ります。どこをたどって銀行や借金取りがやってくるか……と考えると、まともな職につけない。住民票ひとつ怖くて動かせない。なんて末路もあるとかないとか。これもひとつの倒産のかたち。 そして、残念ながら経営不振に対する自責の念によって、自らの命を絶ってしまうことも。悲しい結末ではありますが、これも倒産のリアルのひとつと言えます。
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