「タレントにいわゆる”一発屋”がいるように、ビジネスにも一過性のブームがあります。また、”ダメな二代目”という表現は一般的にも浸透していますよね。これらに該当する会社は倒産しやすいのか?どんなシグナルがあるのか?実際のところを見てみましょう。」 と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。会社における一発屋とは?二代目は本当にダメなのか?今回は、横須賀氏の著書『プロが教える潰れる会社のシグナル』より、再構成してお届けします。
■一社依存、ブームに乗って伸びた会社は危険
一社依存の会社、これはどういうことかというと、売上を構成している取引先が、一社しかないという場合です。一社からの仕事の供給が安定しているということは、いい取引先があるということですが、この取り引きがなくなったら終わりという事実は拭えません。 実際、こういう話はよく聞くものです。大企業から大きくまとまった業務を受注した。その結果、売上も伸び、社員も増えたけれど、数年後にその取り引きがなくなってしまって、どうにもこうにも会社を維持できなくなったというパターン。 売上構成的な脆弱性もありますが、こうしたある意味経営的には「ぬるま湯」であり続けた経営者にちょっと危機感がなかったと言えます。ですから、あなたの会社の取引先がどのような分布になっているのか、確認してみるといいでしょう。 もうひとつ。ブームに乗って伸びた会社。これもちょっと危うい。ブームというのは流行り。流行りがあれば廃れもあるわけで、このあたりは注意が要ります。もちろん、ブームに乗るってことは、経営者がそういう嗅覚を持っているということで、決して悪いことではありません。 例えば、近年でもっともわかりやすいのは新型コロナウィルス感染症で伸びた会社でしょう。これまであまり強いニーズではなかった、マスク、消毒液、アクリル板、体温測定、空気清浄機などは驚くほど需要が増えました。 ほかにも、飲食物の宅配サービスやオンライン配信など、流れに沿って需要を増していきました。私たち士業の世界では、補助金や助成金の申請業務なども伸びていきましたね。 コロナ禍での有名なわかりやすい例といえば、エクスコムグローバル株式会社などでしょう。「イモトの WiFi」などでモバイル通信サービスを手掛けていましたが、コロナ禍で海外旅行は壊滅的に。そこで目をつけたのが新型コロナウィルス感染症の検査である「PCR検査」です。 「にしたんクリニック」と聞けば、「ああ、あれか」と思う人も多いはずです。にしたんクリニック自体は2019年の立ち上げのようですが、コロナ禍にPCR検査事業を始めることで業績を伸ばしました。コロナ禍真っ最中のときには、検査は必要なものでしたしね。 ブームに乗って伸ばすことは悪くない。問題は、その次です。経営者がブームで得た業績の上にあぐらをかかず、二の矢、三の矢を考えているかどうか。ブームで儲かった事業の次に、別の事業や商品が出てこないと、ちょっと危ないのかもしれません。 とはいえ、ChatGPT などに代表されるAIなど、新しいものに無関心でも足元を掬われます。このあたりのバランス感覚を持っている経営者は優秀といえるでしょうね。
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