診断士と社労士の二刀流が描く中小企業支援の未来:MI経営労務オフィス 松本 秀一氏

診断士と社労士の二刀流が描く中小企業支援の未来:MI経営労務オフィス 松本 秀一氏

事務所名:

MI経営労務オフィス

代表者:

松本 秀一

事務所エリア:

岡山県

開業年:

2023年5月

従業員数:

URL:

https://mi-msr.com/ 準備中

大杉:最初に軽く自己紹介ということで、お名前と事務所の所在地、資格と今どんなお仕事をされているのか、教えていただけますでしょうか。

松本:松本秀一です。3月までは大阪にいたのですが、4月から仕事を求めて岡山に来ました。資格は10年以上前に中小企業診断士を取って、社会保険労務士は最近ですね。基本的には紹介でお仕事をいただいています。

大杉:以前はどんなお仕事をされていたのでしょうか?

松本:もともと工業高校出身で、建設業の下請けとして内装工事をしている会社で図面を書いたり、現場に打ち合わせに行くような仕事をしていました。デザインとは少し違っていて、建物を建てるための数字が入った細かい図面を書くという感じです。入社当初は手書きでしたが、時代の流れでCADに移行していきましたね。

大杉:お仕事をされている時に診断士の資格を取られたんですか?

松本:そこから設計事務所を経て、建築の資材を作っている少し大きめの会社へ移った時に診断士の資格を取ることになりました。工務店のサポートをするという新規事業のプロジェクトが立ち上がったのですが、経営のことを何も知らないのにどうやってサポートするんだろうという疑問が自分の中にありまして、色々と調べたところ中小企業診断士という資格があることを見つけて、チャレンジしたというのが経緯ですね。

大杉:もっと軽い経営の勉強から始めるのではなく、いきなり難関資格を取ろうと思われたんですね。

松本:その前に勤めていた設計事務所が、いわゆるブラック企業だったんですよ。月に1日も休みがないとか月の半分は徹夜をしているとか、今では考えられない状態で、妻に「あの頃は母子家庭だった」と言われるくらいです(笑)。そこから転職して19時には帰れるような生活になると、暇なんですよ、時間をどう使っていいのか分からない。

せっかくまとまった時間があるのならと通信制の大学に通いはじめ、簿記や経営、経済学を学びながら診断士の資格も勉強したような感じですね。簿記3級、FP3級など比較的取得しやすい資格からスタートし、それぞれ2級を取ってからDVDの教材を買って診断士試験にチャレンジしました。一次は1年目で受かったので、2年目に二次だけ受けて取得した形です。

大杉:試験内容が幅広いので、その時に松本先生がやりたかったことにぴったり合った感じなんでしょうか。

松本:そうですね、経営者のどんな話にでもついていけるほうがスムーズに進みますよね。二次の記述式では人事に関する内容もありまして、あくまで試験なので受かるための回答にはなりますが、人を活かすことであったり、何が問題なのか、それを解決するにはどうするのかといった、コンサル的な提案に近いものはあるのかもしれません。

大杉:診断士試験は難しいとよくお聞きしますので、何かおすすめの勉強方法があれば教えていただきたいのですが。

松本:一次試験は択一ですから、とにかく量をこなして過去問をひたすら解くという感じで、他の資格と一緒だと思います。先に簿記やFPの資格を取っていたので、二次試験では土台がない人に比べると知識の面でアドバンテージがあったかもしれませんが、それでも最初は何が正解なのか全く分かりませんでした。一次が終わってから二次の対策をする期間も2ヶ月と短いので、流石に別の資格学校から解説DVDを買いましたね。2年目はより自分に合った資格学校のコースに絞って合格した感じです。

大杉:一次に合格した時点でかなりの知識がついていたと思いますが、お仕事への影響はいかがでしたか?

松本:結局は会社の方針変更でプロジェクトは萎んでいきましたので、それほど変化はありませんでした。診断士の資格を取得してからもしばらく勤務していたのですが、せっかく資格を取ったんだから独立したいなという気持ちが出てきて、その時にようやく診断士ってなんだろう、診断士で食べていくとは?という感じになりましたね。今では聞きませんが、当時独占業務のない診断士は「足の裏の米粒」と揶揄されていて、とても食えないという情報もありました。

それでも独立したかったので、プラスで何か専門性が必要なんだろうなと考えているうちに、大きく体調を崩して半年くらい休職することになってしまったんです。本来はもう少し加療が必要でしたが、生活もあるからと半年で退院したものの、そんなに身体も動かない状態だったので独立の夢はここで一旦保留になった形です。

大杉:そこからしばらくして社労士を取得されたのは、どういう経緯だったのですか?

松本:以前から興味はあって、問題集を1冊買ってチラッと見ていたりはしていたのですが、労働基準法から始まって縛ることばかりが書かれているので、売上を上げるなど楽しい部分のある診断士とはちょっと違うなと感じてなかなか勉強が進みませんでした。きっかけとしては大阪で災害があった際、こんな時くらい会社を休んで従業員も休ませてあげたら良いのにな、と思ったことですね。普通に働いていたので、人をなんとも思っていないのだろうかと感じ、社労士の勉強をしてみようかなと改めて考えました。

大杉:社労士の資格は令和4年度に取得されたということですが、診断士の時に勉強した内容が活きた感じでしたか?

松本:そうですね、基本は一緒で過去問を回していました。ただ1年目はあまりやる気が出ず2回目で合格しまして、1度受験したことでどのくらいのレベルなのか分かったので良かったと思っています。また、足切りが多い社労士の選択問題の文章読解には、診断士の二次試験で記述を経験していたのが活きたということはあったかもしれません。1年目から選択は点数が悪くなかったので、分野が違っていても思考や勉強法の共通する部分を応用できるのかなと思います。

大杉:社労士の資格を取ったことで、改めて独立しようと考えられのですか?

松本:そうですね、社労士については実務経験がないので、登録するために必要な事務指定講習を受けてから、令和5年の秋に大阪で登録しました。同年中に診断士・社労士として開業し、翌年の2月くらいから前職の有給休暇を消化しつつ本格的に活動を始め、3月に前職を退職という流れです。

大杉:岡山県へ移られたのは、どういった経緯だったんでしょうか?

松本:有給休暇の消化中に岡山県の企業とご縁がありまして、診断士・社労士ともにお仕事をいただけたからですね。既に子どもが独立していたこともあって、大阪から岡山へ移ることにしました。やはり都会に比べると診断士の絶対数が少ないので、団結でもないですが誰かと知り合ったら別の診断士につながるような感じですし、割と住みやすいですよ。

大杉:社労士については取得されたばかりではありますが、どちらかをメインにするなど、業務展開についてどのようにお考えでしょうか?

松本:専門性については社労士のほうが伝わりやすいのかなと思っています。何をするのか明確ですし、手続きにしても就業規則など成果物が見えますからね。診断士については、おそらく資格を持っていなくても稼げる人が診断士として稼げているのかなと感じます。具体的には助成金の活用を考えているところで、起業というよりは経営のサポートという感じですかね。

大杉:難関資格の診断士を取得されている松本先生から、資格試験受験生へ何かメッセージをいただけますでしょうか?

松本:当たり前ですけど、取ろうと思ったら諦めないということですよね。もう絶対取ると。そして結果がどうあれ、そこから自分の得意なところをそれぞれ伸ばし、引き上げていくことを繰り返していれば、答えのある試験ですから合格ラインに辿り着けると思いますよ。また、試験と違って実務には答えがありませんので、資格を取った後のことを少し考えておくのも大事かもしれません。資格のための勉強と割り切ることで乗り切っていただければと思います。

大杉:追加で少しお尋ねしたいのですが、LEGALBACKSにはどのような経緯で入会されたのですか?私自身も会員ですので、松本先生がどう活用されているのか興味があります。

松本:横須賀さんの存在は以前からご著書などで存じ上げていたので、士業として本格的に活動するにあたってサポートしていただきたいなと。地域特化が良いと思うので岡山県限定の補助金・助成金でKindleを出版してはどうかとのアドバイスをいただき、プロデュースをお願いしてリリースしました。既にいくつかKindleからのお問い合わせもいただいています。

大杉:私の経験からですが、Kindleはリリース直後よりも後からじわじわと効果が出ますので、今後が楽しみですね。今日は試験のお話など色々と教えていただいてありがとうございました。個人的に助成金と補助金をどちらもできる診断士兼社労士は、最強なのかもしれないなという印象です。

松本 秀一 プロフィール

松本 秀一(まつもと しゅういち) MI経営労務オフィス 代表

工業高校卒業後、建築系の企業で従業員数名の企業から上場企業まで、設計、企画、経理等さまざまな職種に従事。 中小企業診断士、社会保険労務士の資格を取得し、2024年に大阪で独立開業。 縁あって4月に岡山に移住。 公的機関の経営相談を行うほか、社労士業務を中心に個人事務所として活動。 現在は手続き業務と就業規則を中心に業務を行っているが、今後は補助金・助成金を中心に業務を拡大していく予定。 岡山県の補助金に特化した『岡山県で「地域密着型支援制度をフル活用する方法」』を出版。