- 事務所名:
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つるき社会保険労務士事務所
- 代表者:
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特定社会保険労務士 鶴木貞男
- 事務所エリア:
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北海道小樽市
- 開業年:
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2024年4月
- 従業員数:
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大杉:では最初に、簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。事務所の場所や、現在どういった業務をされているのかなど、教えていただけると嬉しいです。
鶴木:はい、ありがとうございます。ご紹介いただきました鶴木貞男と申します。事務所は北海道小樽市にございまして、そこで特定社会保険労務士として活動しております。基本的には顧問契約をいただく形ですが、スポットでも就業規則や助成金を中心に、労働保険や社会保険の各種手続き等を行っているところです。
大杉:今回は「なんでこの資格を選んだの?」という企画なのですが、社労士を最初に受けようと思ったきっかけなどを教えていただけますか?
鶴木:私は前職が公務員だったんですが、すぐに社労士業務をやろうと思って試験を受けたわけではなく、資格があれば定年まで勤めた後に社労士として活動できるかなという程度の考えでした。人事労務管理業務を担当する部署に27年間勤めていたので、社労士の受験科目には馴染みがあり、自分の経験も活かせそうだなと思って受験しました。
大杉:社労士は一般にあまり知られていない資格だと思うのですが、人事労務に関わっていると周りの人もよく受験したりするんでしょうか?
鶴木:私は入職した時に公務員だったものの、2004年に勤めていた国立大学が法人化されたことで公務員ではなくなり、その段階から労働基準法が適用されることになったんです。就業規則が作成された当初こそ私は関連部署にいなかったのですが、その後は本部で法改正に合わせた規則の改訂を行ったり、労働基準監督署に届け出たり、毎年の労使協定を締結したりといった業務を行っていました。ハラスメント等のトラブル対応については顧問社労士や顧問弁護士に相談することもありましたので、そういった面で社労士には馴染があったかなと思います。
大杉:すごいですね、ほぼ社労士のような仕事をされていたんですね。そうすると、社労士が何をしているのかも一通り見た上で「自分も取ろう」とか「こんな風になりたい」と思われたんですか?
鶴木:見ていたのはあくまで一部の業務でしたし、最初はそこまで思っていませんでしたね。受験するまでは、定年までは勤め上げて、できればその後にでも、という程度の気持ちでした。
大杉:勉強するにつれて、社労士として業務をやりたいという気持ちに変わっていったんですか?
鶴木:私は3年前の第53回社労士試験に、2回目の受験で合格したのですが、その年には登録せず、翌年の12月に北海道社労士会にその他登録をしまして、その時点でも退職して開業しようとは思っていませんでした。公務員時代の名残で兼業が禁止だったので、副業としてやるという選択肢もありませんでしたね。登録だけでもしておけば研修を受けられますし、社労士の先生方とも色々お話しをしてみたいなと思って入会した感じです。
研修にはほとんど参加しましたし、新年会などへも出席して先輩社労士からお話を伺う機会がある中で、私の「定年までは勤めてその後になれたらいいな」という考えについて、先輩方のご意見は大きく2つに分かれていました。安定しているし極端な減給もないからそれも良いよねという同意と、「すぐに開業したほうが良い」というご意見です。
開業を勧めてくださる先生方の「何とかなるから」という言葉に、そういう選択肢もアリかなと考えはじめ、それが頭の片隅にありつつ研修を受けているうちに、やってみたいという気持ちが少しずつ出てきました。また、登録の2〜3か月後にLEGALBACKSにも入会して、横須賀さんに色々な話を聞いていただいたことで、1〜2年後くらいの開業に向けて少しずつ準備を進めたというところですね。
大杉:なるほど、開業年月は2024年4月ですね、すごいストーリーですね。社労士以外の方に少しだけ補足すると、社労士の登録には開業・勤務・その他という3種類がありまして、鶴木先生は最初その他登録をされたということです。人事労務や就業規則などに触れる機会が多かったので自然に社労士を受けようと思われたということでしたが、他の資格、例えば行政書士なども考えたことはありますか?
鶴木:はい、レベル的に行政書士も考えたのですが、やはり社労士の試験科目である労働基準法や労働安全衛生法に関わることが多かったので自然な成り行きだったのかなと思います。
大杉:既に知っているワードが多かったら、勉強も頭に入りやすいですよね。これから受験しようと思っている方もいらっしゃると思うので、試験勉強で頑張ったことや、役に立ったお勧めの方法などがあれば教えていただけますか?
鶴木:試験の実際の内容はほぼ忘れてしまいましたが、私はクレアールという有名なオンラインの講座を受けました。料金が比較的安いのに内容が充実していて、特に過去問対策が充実していました。社労士試験は過去問をやるのがメインだと思っていたので、その部分が良かったですね。また、勉強時間を管理するために、スタディプラスというアプリを使って毎日入力し、今日はちょっと足りないから土日にいっぱいやろうというように、週単位で一定の勉強時間を確保するようにしていました。
大杉:スタディプラスには科目や勉強内容も入れられるんですか?
鶴木:はい、どのテキストの何ページから何ページまで勉強したかなど、細かく記録できます。ただ、私はあまり細かい入力は続かないと思ったので、今日は労働基準法を何時から何時まで勉強したという程度の大まかな記録をしていました。
大杉:アプリは最初の年から使われていたんですか?
鶴木:はい、最初の段階から使っていました。ネットで社労士受験や試験対策について調べた時に、こういうアプリがあるという紹介を見つけて使い始めました。
大杉:計画的ですね。全体の計画を立てて、日々や週ごとの勉強をアプリで管理されていたんですね。
鶴木:今日は何時から何時まで何をやったという記録はアプリでしていましたが、2年目の合格した年はExcelでスケジュール表も作りました。今日はテキストの何章で次の日は何章、過去問集の何問目から何問目といった感じで日毎のスケジュールを組んで、それに従って勉強しましたね。
朝型だったので、直前期は4時に起きて2時間くらい勉強してから出勤していました。あらかじめやることを決めているので、前の日に翌日勉強する部分のテキストを開いておいて、朝起きたらすぐに勉強できる状態にするなど、やらざるを得ない状況を作っていましたね。
大杉:綿密ですね。何をしようか迷うとモチベーションも下がるので、やることを決めておくのは本当に大切だと思います。では、開業して3ヶ月くらい経った今、これからどういった分野に取り組んでいきたいなどの目標などがあれば教えてください。
鶴木:先ほどお伝えした通り私は前職が国立大学の事務職員で、人事労務管理業務の担当として技術職員など色々な職種の方々を27年間内側から支えていました。社労士になった今は、国立大学を外側から支援したいというのが一つの目標です。時々報道されているのでご存じの方も多いと思いますが、国立大学は税金投入額が年々減らされて経営が苦しくなっています。東大も授業料の値上げが検討されていますよね。
そうした中で全国的に大学発ベンチャーを増やそうという動きがあり、私のいた大学でもそこに力を入れているのですが、ベンチャーを立ち上げた学生や卒業生は恐らく社労士という職業自体を知らないと思うので、立ち上げた時に何をすれば良いのかも分からないと思うんですよね。社会保険の手続きや就業規則、雇用契約書など立ち上げの時に必要なサポートをすることで、研究や経営に専念してもらえるようにしたいなと思っています。
また、留学生への支援や、学生に対して労働基準法など働くにあたってのルールを教育する活動みたいなものができたら良いなと考えています。ただ、まだ開業したばかりなので、まずは頼まれた仕事で経験を積むことが大切だというアドバイスを横須賀さんからいただいていますので、実力をつけてから目標に向かって進んでいきたいですね。
大杉:大学発ベンチャーには私も少し携わっているのですが、本当に社労士が不足している分野なのでとても共感しました。ぜひ一緒に取り組めたらいいですね。最後に、これから社労士資格を取ろうと思っている方へメッセージをお願いします。
鶴木:私は開業してまだ3ヶ月しか経っていませんが、その少ない経験の中でも、社会保険労務士という資格は雇用のあらゆることに関係しているんだなと感じています。扱える範囲が広く、手続きや就業規則、雇用契約書だけでなく、事業の発展や働く人にとっての良い職場環境づくりなど、様々なことができる素晴らしい仕事で、昔ながらの社労士という一般的なイメージ以上に色々なことができる資格だなと思っているところです。
また、私の地元の小樽市は衰退している自治体で、生まれてからずっと住んでいる場所に恩返しをしたい、地元を盛り上げたいという思いがあるのですが、社労士はそれができる資格だとも思っているので、資格取得を考えている方がいらっしゃったら、ぜひチャレンジしていただきたいです。経験の浅い私が偉そうなことは言えませんが、社労士資格の取得はすごく良い選択だったと感じていますので、ぜひ頑張って合格していただいて、何らかの形で一緒に面白いことができたらいいなという風に思っています。
大杉:ありがとうございます。社労士の仕事は本当に広がりがありますよね、仲間が増えると私も嬉しいです。ところで鶴木先生は開業前からLEGALBACKSで相談されていたそうですが、これはすごいことだと思います。
鶴木:入会前に『15年分の天才塾メソッドを10時間で学べるセミナー』を受講してものすごく勉強になりまして、横須賀さんに開業へ向けた相談もしたかったので、これはマストだなと開業前の2022年2月に入会しました。最初は過去の動画を全部観て勉強したのですが、何を相談したらいいのか判らなかったので、実際に相談したのは開業の直前くらいからです。今の段階で何をすべきか、今できることは何かをアドバイスいただき、直後にも色々と教えていただきました。ベタ褒めになってしまいますが、横須賀さんがいなかったらどうなっていたんだろうというのは、本当に思いますね。
大杉:開業前に相談してみようと思える鶴木先生だからこそ、定年まで待たなくて良かったと思いますよ、自分の将来に投資できる人は少ないと思いますので。鶴木先生、ありがとうございました。
北海道小樽市出身。北海道の国立大学に約27年間勤務し、50歳で社会保険労務士として独立。大学での豊富な労務管理経験を基に、地元企業の労務管理や職場環境の改善を支援。特に人事労務やハラスメント対策に強みを持つ。これまでの経験を活かし、医療機関や教育機関への支援を得意とし、地域社会の労働環境向上を目指して活動している。労働法や社会保険に関するアドバイスも行い、地域に根ざした支援を展開。
クレド社会保険労務士事務所代表。大阪大学法学部卒業。 サントリー(現サントリーホールディングス)株式会社を経て、医業経営コンサルティング会社に参画。クライアントの抱える多様な問題に応えるため、社労士資格、行政書士資格を取得し開業。医療法人・スタートアップ企業の労務コンサルティングを得意とする。医業専門リーガルサービス法人共同代表、専門家集団『BAMBOO INCUBATOR』所属。医療労務コンサルタント、キャリアコンサルタント。