- 事務所名:
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税理士法人プライムパートナーズ
- 代表者:
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島本雅史・成田憲則
- 事務所エリア:
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港区
- 開業年:
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2024年11⽉
- 従業員数:
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目次
Q.貴社の事業について教えてください
「税理士法人としては税理士が二人必要ということで、私島本と成田の2名で代表を務めております。もともとは二人とも公認会計士として監査法人で勤務をしていたのですが、税理士業務で相続をサポートしたいという思いから、法人を立ち上げました。グループとしては会計士として企業向けのコンサルティングなども行っておりますが、相続に関しては個人のお客様が対象です。
実は、私も成田も個人的に相続の経験がありまして、その際に税理士の対応に改善の余地を感じたことが法人設立のきっかけになっています。相続は誰もが直面する問題だと思いますが、多くの人は未経験で右も左も分かりませんよね。当時の私たちもそうした状態でしたから、税理士さんへ色々な質問をしたのですが、聞かれたことになら答えるという非常に受け身な印象だったんです。もっと提案型で寄り添ってくれる税理士さんだと助かるのにと強く感じました。
例えば実家が空き家になってしまったという困りごと一つを取っても、不動産屋さんに相談すれば”売りましょう”、ハウスメーカーに相談すれば”新たに建てましょう”という回答になりますから、結局どうすればいいのか判断が難しいわけです。もっと当該家族としては何が最適なのか、対象の資産であればどう取り扱うのが最も適切なのかといった、一歩踏み込んでトータルなアドバイスをしてくれる税理士がいると心強いのではないかと。
こうした経験が、もっと困っている方に伴走してサポートできる税理士でありたいという現在の事業の形につながっています。」
Q.『士業AI【税務】』とはどのようなサービスですか?
「主に、税理士をはじめとする士業や専門家が利用することを想定して開発したAIサービスです。公的情報のみを参照する相談AIで、これまで士業が相談を受けて自ら調べて回答していたようなことを、公的な情報に基づいてスピーディかつ正確にフィードバックするような使い方を想定しています。もちろん、一般の方が専門家に相談する前に全体像を知るためのツールとしてもご活用いただけるものです。
ChatGPTなどをそのまま使うと、どうしても情報ソースが曖昧だったり、出典が不明確であったりしますので、特に税務のような正確性を求められる分野においては、もっと信頼できる情報源に特化したツールが必要ですよね。こうしたニーズに応える形で、情報ソースを公的機関に絞り、独自のフィルタリングシステムを構築することで、事実確認が可能な精度の高い税務相談AIを実現しました。
検索エンジンとは異なり、求めている情報に効率的なアクセスができる利便性がありながら、会員登録をせずに無料で使える点も特徴で、わずらわしい手順を踏むことなく手軽に利用していただきたいという思いから、このような形でご提供しております。また、弊社にはIT専門部隊が在籍していますので、ユーザーからのフィードバックをもとに素早くアップデートを重ねており、無料であってもクオリティは高いですし、進化も早いです。将来的には、会計や法務といった他の分野への展開も視野に入れています。」
Q.『士業AI【税務】』の開発背景について教えてください
「もともと弊社はAIの活用を重視する社風でして、社内向けに使いやすいツールが欲しいという思いから開発がスタートしました。私はChatGPTの登場が話題になった頃から注目していましたし、税理士業界でも活用が検討されはじめ、研修などで”これからはAIだ”と言われはじめた流れに乗って使ってみたのですが、非常に便利ではあるものの正確性に欠ける点が気になったんですよね。それっぽい回答はしてくれるのですが、根拠が明示されないので信用するわけにはいかないなと。
NotebookLMのようにソースを限定できる生成AIもありますが、法改正など情報が更新された際は新たに読み込ませる手間が発生しますし、大量の情報を正確に読み込めていなかったり、本当にソースを絞れているのか確認できるわけでもありませんので、実務で使うには課題が多いと感じていました。それならば、自分たちで必要なものを作ろうと考えてAI開発に着手したという流れです。正直、あまり他社さんの法律相談系AIとは比較しておらず、とにかく自分がほしかった機能を実装した感じですね。
また、生成AIを実務で使うにしても、やはり責任は士業が負うべきだと考えておりまして、出力される文章自体が自分でコントロールできなくてもワンタッチで責任を負えるような状態を実現するためには、根拠をリファレンスさせることが有効だと考えました。もともとは社内での業務効率化を目指していたものが、他の士業の方々にも役立つだろうと一般公開するに至った形ですので、説明書きを理解して、根拠として条文を見て、正しい情報を得ていることを確認した上でクライアントへ説明できるような設計にしています。」
Q.『士業AI【税務】』が与える士業や企業への影響は?
「AIツールの登場は、士業の仕事を奪うものではなくむしろ支援するものであると考えています。確かにAIを使うことで効率的な情報収集ができるようになりますが、情報を知って動く人がいる一方で、知っていても動けない人もいますよね。まさに士業の仕事は、知っているだけでは決して完結しないと思っておりまして、知っている情報を使いこなし、責任を持って実行するのが士業ではないでしょうか。
この先AIがどれほど進化しても、人間が最終的に責任を持つことは変わりませんし、むしろAIを使うことで正誤や適否を判断できる士業の付加価値がより問われるのではないかと思っています。基本的には誰かの代理として本人になり代わって動く業務ですから責任が重いですし、押さえておくべき知識の範囲も非常に広く、労働集約的なところもありますので時間がいくらあっても足りないという特性を考えると、むしろ士業の担い手が減ってしまうことを危惧するくらいです。
そうすると、一時的な回答やルーティンワーク、誰がやってもそれほど変わらないような業務にAIを活用することで、これまで以上にプロフェッショナルとしてのコミュニケーション能力でお客様のお役に立てるようになるでしょうし、士業になりたいという人も増えるかもしれません。士業の本質はお客様に寄り添って伴走し、問題解決まで導くことだと思いますので、『士業AI【税務】』はそうした本来の役割に集中するためのツールだと捉えていただけると嬉しいですね。
今後は、企業の法務部門でお使いいただけるツールも横展開していきたいと考えておりますので、一般企業の利便性に寄与できることはもちろん、比較的平易な内容を自分たちで扱えるようになったぶん、より複雑で専門性の高い案件については士業への相談を促すような役割も果たせるのではないかと考えています。」
Q.士業の税務と生成AIの今後の可能性は?
「今後はAIの進化によって、より個別具体的なニーズへの対応が進んでいくと思います。現時点でも言語処理は非常に優秀ですが、これまでは苦手としていた数値の処理やケース別の判断力も高まってきていますので、さらに進化すれば税務の世界でも個別の条件を加味した上で対応できるようになっていくのではないでしょうか。もちろん我々としても、『士業AI【税務】』をお使いいただいた士業の先生方からご意見をいただきながら、よりお役に立てるツールに改善していきたいと考えています。
そうしてますます業務効率化が進むと、士業としては生成AIが出力した情報を最終チェックするという役割に比重が置かれるでしょうから、より一層優れた判断力を持ち責任を全うするプロフェッショナルとしての付加価値が期待されるようになるでしょう。例えば新しい税制の解説や法改正などについて、複雑な情報を整理することはAIにも可能ですが、一般の方が腑に落ちるように解りやすく説明できるのはコミュニケーション能力の高い士業ですし、そうした質の高いサービス提供が求められるようになると思います。」
Q.これから生き残っていける士業事務所の条件とは?
「やはり、好奇心と向上心を持つことが一番大切なのではないでしょうか。新しい時代に合わせて変化を受け入れることのできる、適応力の高い士業こそが今後も生き残っていけると考えています。従来のやり方に固執するのではなく、AIをはじめとする新しいテクノロジーを受け入れ、効率化できる部分は徹底的に効率化することで、付加価値の高い業務に注力することができれば、自然に支持され続ける事務所になれるように思いますね。
また、先程も少し触れましたが、私は属人的な長時間労働が常態化している士業業界の現状に課題を感じておりまして、若手が定着し辛い状況を何とかしたいという側面からもIT活用による業務負担の軽減を推進してきました。AIを活用する士業事務所が増えれば、より多くの優秀な人材が士業の世界にチャレンジしやすくなると思いますし、能力の高い士業が長く活躍できる環境を整えることも、事務所の生き残りにとって重要なことだと考えています。」

士業AI【税務】へのリンクはこちら
https://tax.prime-partners.co.jp/ai-zeimu/
・どなたでも登録・料金不要でご利用可能です。
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代表 公認会計士 税理士
有限責任監査法人トーマツにて約22年間、上場・非上場企業を対象に、監査業務(日本基準・IFRS)、内部統制(J-SOX)支援、IFRS導入支援、IPO準備支援、上場準備会社の監査など、会計・監査の幅広い分野で専門性を培う。
そのような中、自身の家族の相続を経験したことを契機に、税務・資産承継の分野において、画一的な対応ではなく、家族の状況や想いに寄り添った丁寧なコミュニケーションと資産プランニングの重要性を実感。相続は単なる税務申告にとどまらず、家族の将来設計、財産管理、経営承継にも関わる重要な課題であるとの認識から、税理士法人を設立。
現在は、会計・税務アドバイザーとして、企業経営者や資産家に対し、相続・資産承継の支援に注力。税理士であり不動産オーナーでもある立場から、実体験に基づく相続税評価や資産管理に関する実践的な視点を持ち合わせている点が強みである。
代表 公認会計士 税理士 認定上級IPOプロフェッショナル
有限責任監査法人トーマツにて、上場企業の監査業務、決算書作成支援業務、内部管理体制支援業務、IFRS導入支援業務、IPO支援及び上場準備会社の監査業務に従事。
約10年のトーマツ経験を経て、リーガルテックのスタートアップにて取締役CFOとして、IPO推進の実務経験を有する。
自身の家族における相続体験を通じ、会計士として培った”傾聴力”と”提案力”を活かして、より依頼者に寄り添った相続支援を提供するため、税理士法人の設立に至る。
特に、非上場株式に関しては、税理士としての相続税評価に加え、公認会計士として取引価格(時価)の算定にも対応可能であり、税務と会計の両面からアプローチできる点が強みである。