手続き屋を脱し採用定着で価値を出す社労士の選択:C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表 泉正道氏

手続き屋を脱し採用定着で価値を出す社労士の選択:C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表 泉正道氏

事務所名:

C&Pいずみ社会保険労務士法人

代表者:

泉正道(特定社会保険労務士・採用定着士・生成AIアドバイザー)

事務所エリア:

兵庫県姫路市

開業年:

2019年7月

従業員数:

2名

Q1. 現在の事業内容を教えてください

当社では、いわゆる手続きや書類作成といった従来型の社労士業務ももちろん行っていますが、今は「採用定着」に関するコンサルティング業務に特に力を入れています。これは、単に人を採用するノウハウを提供するのではなく、企業の「在り方」と「やり方」の両面から支援していくというものです。

「在り方」というのは、経営者や採用担当者の意識や姿勢の部分で、たとえば「未来の仲間を迎え入れる」という本気度や、採用を会社の重要課題と捉える姿勢などを含みます。一方で「やり方」は、どの媒体を使い、どのタイミングで、どんな求人を出すかといった具体的なノウハウですね。採用のための仕組みを一緒に作り上げ、最終的には人が定着するための土台を企業と共に整えていきます。

報酬形態としては、半年から1年単位のプロジェクト形式が多く、一定の成果を出した上で、そのまま継続して顧問契約に移行するケースもあります。形式に縛られず、企業のニーズに合わせた柔軟なスタイルで関わらせてもらっているのが、うちの特徴かなと思います。

Q2. 現在の社労士を取り巻く環境や状況に関する所感を教えてください

今、社労士業界全体を見ると、確実に「二極化」が進んでいると感じています。つまり、しっかりと強みを持って時代の変化に対応している事務所は着実に成長し続けている一方で、何の特色もなく、従来の延長線で手続き業務だけをこなしているような事務所は、徐々に存在感を失っていくという構図です。特に最近では「生成AI」の登場が大きな話題となり、これまで社労士が担ってきた一部の業務が自動化される可能性が出てきています。実際、一時期は業界内でもAIへの関心が高まりましたが、今はやってみたものの「うまく使いこなせなかった」「思ったより難しい」といった理由で、距離を置いている人も多く、実際に継続的に活用できている人は1割もいないのではないでしょうか。

こうした流れの中で、ただの書類作成屋ではなく、「何が経営課題かを読み解き、寄り添って解決に導ける存在」になれるかが問われていると思います。実際に、私の周りでも書類業務から徐々に脱却し、コンサルティング業務に軸足を移している社労士が増えてきています。特に「採用」「定着」「人事評価」といった分野はニーズが高まっており、これらに取り組む動きが今後さらに主流になっていくのではないでしょうか。

これからの社労士は、変化にどう向き合い、自分の価値をどう再定義するかが鍵になると感じています。制度や法律の知識だけでなく、実際に経営や人に向き合うスキルが求められる時代に、突入しているのではないかと思います。

Q3. 「採用定着」のコンサルティングとは、どのような業務ですか?

「採用定着」のコンサルティングというのは、一言で言えば“人が集まり、定着する仕組み”を企業と一緒に作る仕事です。ポイントは「在り方」と「やり方」、この2つの側面から支援することにあります。

まず「在り方」とは、経営者自身の意識や考え方、そして採用に対する本気度を見直してもらうことです。よくあるのが、欠員補充のためだけに求人を出すケースですが、そうではなく「未来の仲間を迎える」という視点を持つことが重要です。そのためには、自社の魅力をどこまで理解し、それを言語化できているか、経営者がどれだけ採用を自分ごととして捉えているか、こうした姿勢が問われます。

一方の「やり方」は、実際にどの媒体を使うのか、どんなタイミングで求人を出すのか、募集要項の書き方など、より実務的な部分になります。ただ、単にノウハウを教えるだけでなく、それぞれの企業に合ったやり方を一緒に模索し、仕組みとして根付かせることが大切です。

実際の支援の進め方としては、半年〜1年のプロジェクト単位で関わることが多いです。計画を立てて進捗を共有しながら伴走し、場合によっては継続的な顧問契約に移行することもあります。企業の規模や採用状況によっては、採用媒体の選定や面接の設計、社員アンケートの実施など、かなり深く関わるケースもあります。SNSや合同説明会といった現場にも顔を出し、実際の空気感を共有することもありますね。単なるアドバイザーではなく、企業の一員のような立ち位置で支援するのが私のスタイルです。

Q4.「採用定着」のコンサルティングを取り扱おうと考えた背景や経緯はどのようなものでしたか? 

「採用定着」のコンサルティングを本格的に始めようと決めたのは、今から2〜3年前のことです。当時、顧問先や知人の経営者から「人が採れない」「採ってもすぐ辞めてしまう」といった相談を受けることが増えてきていました。自分自身としても、「これは大きな課題だな」と感じながらも、当時はまだ明確なノウハウや体系だったメソッドを持っていなかったんです。そういう状況に少し焦りも感じていた頃、尊敬する先輩から「セミナーやるから、採用定着について話してくれない?」と声をかけられました。実はそのとき「社労士の知り合いはたくさんいるが、まともに喋れる社労士がほとんどいない。泉くん、喋れるでしょ」と言われまして。それが大きな転機になりましたね。

ちょうど興味が高まっていた分野でしたし、「これはもうやるしかないな」と、ある意味タイミングが重なった感じでした。実際、現場で困っている経営者が多い一方で、そこにしっかり向き合える社労士が少ないという実感もあり、自分がこの分野に取り組む意義を強く感じました。

相談内容は、「人が採れない」が8割、「定着しない」が2割という割合です。「定着しない」以前に「まず応募が来ない」「来てもミスマッチで終わる」といった声が多いです。つまり、採用における「入口」の設計そのものが上手くいっていない企業が多いという事です。

だからこそ、「在り方」と「やり方」の両面からサポートする必要があると感じましたし、表面的なテクニックではなく、企業の本質的な魅力や強みを引き出していく支援の形が、自分のやりたい方向性とも重なったんです。自分にしかできない価値提供ができるのではないかという想いが、今のコンサルティングの原点になっています。

Q5. 「採用定着」のコンサルティングを始めた結果は、どのようなものでしたか?

「採用定着」のコンサルティングを始めてから、ありがたいことに、いくつかの企業で大きな成果が出ています。たとえば印象的だった事例の一つに、人口4万人の町にある、従業員25名規模の会社があります。そこは以前、ビズリーチやIndeedなどの媒体を活用して、3年ほど採用活動を続けていたものの、全く人が集まらず、結果的に一人も採用できていなかったんです。求人広告にはかなりの金額を投じていたそうですが、効果が出ず、「どうしたらいいかわからない」という状態でした。

そこに私が関わらせてもらって、約1年足らずの取り組みの中で、8名の採用に成功し、しかもほぼ全員が定着しています。これは本当に大きな変化でしたし、企業側からも「泉さんのせいで固定費が増えて困っています(笑)」なんて冗談を言われています(笑)併せて、「コスパが良すぎる」という評価もいただきました。もちろん、固定費は上がることになりますが、それ以上に職場の安定感や人員配置の余裕が生まれたことに、非常に満足されていたのが印象的でした。

この仕事の特徴として、「在り方」と「やり方」の両面から丁寧に関わることで、企業側の認識や行動が根本から変わっていくという点があります。たとえば、最初の段階で「本当に欲しい人材ってどんな人ですか?」とか、「その人が魅力に感じる御社の強みは何だと思いますか?」という問いを投げかけると、大抵の企業は明確に答えられないんです。そこで、社員へのヒアリングを一緒に行ったり、企業の魅力を言語化するサポートをすることで、求人内容そのものが変わり、応募が集まりやすくなっていくんです。

また、スピード感や現場への関わり方についても高く評価されていて、SNS運用や就職イベントへの同行、現場での写真撮影など、必要に応じて積極的に動くようにしています。表に出すことはあまりしていませんが、報酬以上の価値を提供するつもりで関わっており、それが他の社労士との差別化にもなっているのかなと思っています。

当社側から見ると、他のサービスに比べて、費用対効果はあまり良くない(いただいている報酬以上に動くことが多い)と感じる事も多いですが(苦笑)、だからこそお客様からすると「コスパが良すぎる」と言っていただけるのかもしれません。

Q6. これから生き残っていける社労士像や事務所スタイルはどのようなものだとお考えですか?

これから生き残っていく社労士像というのは、単に「社労士です」「就業規則作れます」といった“業務名”や“資格”で自分を語る人ではなく、自分の提供価値を言語化し、その専門性をしっかり持っている人だと思います。特に今後は、労務相談の内容自体が高度化していくはずです。クライアントから「生成AIでこう出たけど、実際どうなの?」という前提付きの相談が普通になっていく中で、法律的な知識だけではなく、そこに自分なりの“持論”を持って答えられることが重要になってきます。

また、採用や定着、人事評価といった分野では「数字で結果を出す」ことが求められるようになっています。従来の社労士は、数字に対して責任を負うことは少なかったかもしれませんが、今後は「採用数」「定着率」「離職率」など、成果を数値で示せるかどうかが評価の基準になる時代だと感じています。

つまり、法務的な基礎力に加え、現場感覚と結果に対する責任感を持った“実行型”の社労士こそが、これからの時代に求められる存在ではないでしょうか。単なる手続き屋から脱却し、経営に寄り添える社労士であること。それが生き残るための鍵になると、私は思います。

泉正道 プロフィール

地方都市中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表、特定社会保険労務士、採用定着士、生成AIアドバイザー。
2026年現在、全国200社以上の経営者から相談を受け、その相談数は3,000件をゆうに超える。「3年間応募ゼロの状態から1年で8名の応募獲得」へと導いた事例や、「最高難度の職種で23歳の採用」に成功した事例など、地方都市企業の採用実績も多数。
商工会、商工会議所、保険会社等でセミナー講師としても登壇しており、採用定着、教育、労務問題から、生成AIを使った経営課題の解決まで、中小企業の「人」に関する課題解決を使命としている。

資格・肩書き
特定社会保険労務士
採用定着士
生成AIアドバイザー