生成AIで業務改革!社労士の効率化と販促を劇的加速:社会保険労務士 荻生労務研究所 荻生清高氏

生成AIで業務改革!社労士の効率化と販促を劇的加速:社会保険労務士 荻生労務研究所 荻生清高氏

事務所名:

社会保険労務士 荻生労務研究所

代表者:

荻生清高(特定社会保険労務士・生成AIアドバイザー)

事務所エリア:

熊本県熊本市

開業年:

2021年5月

従業員数:

1名

Q1. 現在の事業内容を教えてください

私の事務所は熊本市を拠点とし、労務顧問業務を中心に、社会保険や労働保険の各種手続き代行、給与計算、就業規則の作成・変更など、いわゆる一般的な社会保険労務士としてのサービスを提供しています。いずれも中小企業を主な対象としており、日常の労務管理や人事制度の運用に関する支援を通じて、企業の安定経営をサポートしています。

こうした基本業務に加え、私が以前所属していた事務所時代から積極的に取り組んできたのが、クラウドサービスの活用です。例えば、給与計算や勤怠管理、顧客情報の一元管理など、クラウドを活用することで、事務処理の正確性やスピードを大幅に向上させてきました。紙やExcelベースでは実現できない業務の効率化が可能になり、お客様からも高い評価をいただいています。

そして近年、さらに注力しているのが生成AIの業務への活用です。これは単なる業務効率化にとどまらず、サービスの質そのものを引き上げる力を持っていると感じています。実際、事務所のホームページにも「生成AIで未来を変える社労士」というメッセージを掲げており、AI活用を自らの専門性の一つとして明確に打ち出しています。

これまで社労士として培ってきた経験や専門性に、クラウドやAIといったテクノロジーを組み合わせることで、従来の枠にとらわれない新しい社労士像を追求している――それが現在の私の事業内容です。

Q2. 生成AIを通じた業務効率化や販促効果について教えてください

生成AIを業務に取り入れたことで、効率化と販促の両面で想像以上の効果が出ています。まず業務効率化の面では、お客様との面談後にその内容を即日、もしくは翌日には議事録としてまとめてお渡しできるようになりました。これまでは私自身が手作業で書いていたため時間がかかっていたのですが、今ではNotebookLMなどの生成AIを活用することで、面談内容を自動で整理・要約し、短時間で正確な記録が作成できます。

また、お客様へのメール対応でもAIが活躍しています。例えば、お詫びのメールや言いづらい内容を伝えるメールなど、文面に神経を使う場面では、My AIなどを使って表現を調整しています。以前は2時間ほどかけて悩んでいた文面が、今では数分で仕上がり、しかも丁寧さや配慮も損なわれない。レスポンスが早くなることで信頼関係の維持にもつながっていますし、社労士業界では「返事が遅いことが解約につながる」という現実を考えると、非常に大きなメリットです。

販促の面では、AIを使ってブログの下書きを作成し、それを基に情報発信を継続してきました。その結果、半年ほどでブログ経由の問い合わせが急増し、内容をしっかり読んだ上で「この人に頼みたい」と指名してくださるお客様が増えました。さらに、テレビ局からの取材依頼や全国紙での執筆依頼も入るようになり、事務所としての認知度も大きく向上しています。

単なる作業の代替にとどまらず、業務の質を高め、価値を伝える手段としても生成AIは非常に有効だと実感しています。

Q3. 生成AIを業務効率化、販促に活用したときに感じたことはどんなことでしたか?

生成AIを実際に業務に取り入れてみて、最初に感じたのは「本当にこれで結果が出るのだろうか」という不安でした。特にブログなどの情報発信においては、効果がすぐに目に見えるものではないので、最初のうちは半信半疑というのが正直なところでした。でも、だからこそ最初から結果を求めすぎず、試行錯誤しながらとにかく続けてみようという気持ちで取り組んだのが良かったと思います。

これまで何度かブログ発信に挑戦したものの、テーマ設定や構成に時間がかかりすぎて途中で挫折してしまうことが多かったんです。でも、生成AIの力を借りるようになってからは、文章の構成やテーマ候補を一緒に考えてくれる存在ができたことで、心理的なハードルがグッと下がりました。実際にAIとやり取りしながらブログの草案を作り、それを自分の言葉で整えるというスタイルに変えたことで、原則毎日発信を続けることができるようになりました。

その結果が目に見えて現れてきたのが、ちょうど半年ほど経った頃です。それまでは正直、手応えがあるようでないような、そんな状態が続いていましたが、7月以降、ブログ経由での問い合わせが一気に増え、しかも「先生のブログを読んでお願いしたいと思いました」と言ってくださる方が増えたんです。これは大きな転機でした。

それだけではなく、AIを使うことで時間的な余裕も生まれ、今まで「やりたいけど忙しくてできない」と思っていたことにも手が伸ばせるようになりました。例えば、面談ごとに必ず議事録を残すとか、毎週メルマガを配信するといったことが無理なく継続できるようになったのも、AIのサポートがあってこそです。

加えて、AIの存在は「自分自身を見つめ直すきっかけ」にもなったと思います。というのも、生成AIを活用しながらコンテンツを作る過程で、自分がどんな専門性を持っていて、どんな強みがあるのかを言語化する必要が出てくるからです。これは結果として、自分自身のブランディングにもつながりました。

今では、AIは単なるツールではなく、業務の一部、いや、相棒のような存在になっています。「これがなかったら、今の働き方は実現できていない」と言い切れるほど、私の中では欠かせない存在です。

Q4. 生成AIを使うと使わないでは、どれだけの差が出ると感じますか?

生成AIを使うか使わないかで、業務の成果には本当に天と地ほどの差が生まれると実感しています。実際、私自身もAIを活用する前と後では、業務の質もスピードも、そしてお客様からの反応もまったく違います。今では、ブログやホームページを見た方から自然に相談が寄せられるようになり、積極的に営業をかけなくても、週単位で新規の依頼が入ってくるようになりました。

特に大きいのは「時間の使い方」です。AIが議事録や文書作成をサポートしてくれることで、これまで手が回らなかった発信や顧客対応にリソースを振り分けられるようになりました。その結果、業務の幅も広がり、より多くのお客様に迅速かつ質の高いサービスを提供できるようになっています。

これまで累計で200本近いブログ記事を発信してきましたが、それもAIがなければ到底成し得なかったことです。生成AIを活用することで、士業としての「在り方」そのものが変わる。私はそう確信しています。

Q5. 士業が生成AIを活用するために重要なことは何ですか?

士業が生成AIを活用する上で、最も重要なのは「まず触れてみること」だと強く感じています。多くの士業の方がAIに関心を持ちながらも、実際には使いこなせていない現状があります。その理由はさまざまだと思いますが、一番の壁は「よくわからない」「失敗したらどうしよう」といった心理的なハードルではないでしょうか。

でも、実際にやってみないことには何も始まりません。私自身も最初は戸惑いましたし、失敗もたくさんありました。お金を払って導入したツールがうまく使えなかったこともありますし、時間をかけた試行錯誤が無駄になったこともありました。でも、その一つひとつが学びになり、今の活用スタイルにつながっています。

今は情報があふれていて、「何から始めたらいいかわからない」という声もよく聞きます。そんなときは、信頼できる人からキュレーションされた情報を受け取るのも有効です。私も月1回の定例会などで情報を整理していただいており、それが非常に助けになっています。

また、自分が使っているだけでなく、お客様がどのようにAIを活用しているかにも注目することが大切です。実際に、私自身が生成AIの登場によって一部のお客様を失った経験もあります。だからこそ、AIを「脅威」として見るのではなく、「自分の強みを生かすための武器」として積極的に取り入れる姿勢が、これからの士業には求められていると思います。

Q6. これから生成AIを活用したいと考えている士業に一言

先ほどの話と重複しますが「とにかくまず触れてみてください」ということです。どんなに情報を集めても、どんなに勉強しても、実際に使ってみなければその本質は分かりません。最初は不安や戸惑いもあると思いますし、「本当に効果があるのか」と疑いたくなる場面もあるでしょう。でも、その一歩を踏み出すことでしか見えてこない景色が確かにあります。

私自身も、初めてAIに触れたときは手探りでした。最初からうまくいったわけではなく、効果が出るまでには数ヶ月の時間がかかりました。でも、その期間にAIとの向き合い方を試行錯誤し、少しずつ業務に取り入れていったことで、今ではAIが欠かせない業務パートナーとなっています。特に、ブログ発信や議事録作成、メール対応など、従来は時間と労力がかかっていた作業が短時間で高品質にこなせるようになったのは大きな変化です。

AIの進化は止まりませんし、私たちの業界にも確実に影響を及ぼしています。実際に私のところでも、AIを活用することで自分で労務相談を完結させてしまい、契約が終了してしまったケースもありました。だからこそ、「AIに代替される側」ではなく、「AIを使いこなす側」に立つことが必要不可欠です。

まずは小さなことからで構いません。ChatGPTに話しかけてみる、議事録の要約を頼んでみる、ブログのアイデアを出してもらう。そういった小さな行動の積み重ねが、やがて大きな変化につながります。ぜひ、勇気を持って一歩を踏み出してみてください。

荻生清高 プロフィール

特定社会保険労務士・生成AIアドバイザー。

熊本市内の社会保険労務士法人にて10年間、医療機関・建設業・運送業・製造業など多様な業界の労務管理支援に従事。2021年5月に熊本市で「社会保険労務士 荻生労務研究所」を開業。

現在は、労務管理支援、勤怠管理・給与計算システムの導入支援に加え、生成AIを活用した労務管理の質向上に注力。情報漏えいや著作権リスクに配慮したAI利用ルールの策定支援、GPTsのオーダーメード開発、就業規則のチャットボット化など、顧問先が安全かつ実務に直結する形でAIを活用できる環境づくりを行っている。

労働法と労働判例の調査・分析力を背景としたユニオン対応・問題社員対応、ハラスメント対策など紛争予防支援、セミナー講師、寄稿・執筆活動にも積極的に取り組む。特に近年は、総務・人事領域における生成AI活用セミナーや、AI×労務管理に関する執筆も行う。

今後は、スタートアップ支援施設に入居する地の利を活かし、スタートアップ・ベンチャー企業への労務戦略構築とAI活用支援に一層注力。労働者と企業が共に成長できる環境づくりを目指す。

著書に「4人以下の小さな会社・ひとり社長の労務管理がこの1冊でわかる本」(Kindle)ほか。