LINEで気軽に相談できる「終活相談AI」の凄さとは?:株式会社ファミトラ 塩路 未芽氏

LINEで気軽に相談できる「終活相談AI」の凄さとは?:株式会社ファミトラ 塩路 未芽氏

事務所名:

株式会社ファミトラ

代表者:

代表取締役CEO 三橋 克仁

事務所エリア:

東京都港区

開業年:

2019年11月

従業員数:

約50名

Q.「終活相談AI」とは何か︖

「簡単に申し上げますと、LINEでメッセージをするだけで終活のお悩みに答えてくれる、ChatGPTの技術をベースにしたチャットボットです。ご家族やお友達に話しかけるような感覚で、無料で気軽にやりとりしていただけるのが特徴で、データベースとして弊社の家族信託サービスで蓄積された情報を活用しています。

面倒な会員登録などは不要で、ご入力いただいた情報がAIの学習に使われることはありませんので、お気軽に、かつ安心してご利用いただけるのではないでしょうか。

資産や相続はもちろん、介護や健康管理、身辺整理など終活に関する知識を多く取り込んでおりまして、データをどう読み込ませるかで、同じ質問をしても返答が変わってきますので、やはり色々なお客様と接している中で集まった実務をベースにした情報は、弊社の強みであると感じています。」

Q.「終活相談AI」作成の背景は?

「弊社は家族信託サービスをメインで行っていますので、終活に関する情報をかなり多く持っていて、顧客層が1度は終活に目を向ける世代となります。そうした方々にChatGPTという最新技術を活かして何か提供できるものはないか、という発想からスタートしました。

LINEアカウントのサービスという形で、今は弊社の持つ情報をお客様にどう提供するかということを主眼に置いていることから、無料でご利用いただけるようにしています。弊社代表の三橋が元々エンジニア出身ということもあり、最新技術へのキャッチアップにも非常にスピーディーに動いておりまして、ChatGPTが出てきた時にはもう何かしらやろうといった感じでしたね。

ChatGPTは質問する側が言葉を厳密に選ばず、自分の感覚で質問しても回答してくる仕様ですので、テキストコミュニケーションに慣れていない顧客世代にも合うのではということと、60代以上の利用率が70%以上のLINEであれば日常生活に溶け込んでいますし、音声入力もできますから、ターゲット層に適しているのではないかと考え、ChatGPTの情報を得た瞬間にすぐ動き始めました。

なぜ終活なのかという点については、やはり我々が家族信託サービスを展開する中で、老後の対策について様々な発信をしていることもありますし、そうしたつながりで終活の情報がかなり多く集まっていることから、自然に流れ着いたという感じです。かつてはあまり普及していなかった家族信託ですが、徐々に土壌ができつつあり、弊社へもこれまでに2万件以上のお問い合わせをいただいています。多くのお客様が抱えている悩みは、家族信託にすべきか否かということよりも、漠然とした老後の不安であるということが見えてきました。

Q.「終活相談AI」リリースの結果は?

「プレスリリースを出しましたので反応は大きかったです。。現状、弊社の業績に直接つなげるということはあまり考えておらず、まずは弊社が持っている情報が、お客様のお知りになりたい情報とどう適合するのか、ご質問をいただく中で見えてくるものがあるだろうということで、今はサービス提供そのものに注力しています。

ご質問の内容としては、お金に関するものが多くなっていますが、そもそもまず何を質問したらよいのかわからないという方が多いですね。そのようなお客様をどうサポートすべきか我々も色々と考えながら、サンプルの質問を用意して定期的に入れ替えてみたり、いただいたご質問に基づいて次に求められると予測される情報を出してみたり、といった工夫を続けています。

また、ご質問する時、すぐに言葉が浮かばない方が多いと考え、サジェスト機能もつけました。横須賀さんからも非常に親切だと評価していただきましたが、聞きたいことを「これだ」という風に見つけられることも大事かなと思います。更に、お客様のご質問を待つのではなく、AIから質問を投げかける仕様ですので、最初の質問で詰まってしまうことは少ないのではないでしょうか。できるだけ多くの質問をしていただけるように、我々が手助けできることは何かを考えて調整していますね。

弊社の調査によれば、老後の不安や、終活への不安は当然皆さんお持ちなんですけれども、実際に行動を起こされている方は意外に少ないんです。介護や相続などのキーワードは皆さんご存知ですが、例えば介護だったらここに相談して、相続だったらここに相談するという風に、相談先が色々とばらけてしまっているということもひとつの原因であり、終活相談AIは一箇所で相談できるというのは強みでもあるんですよね。

更に、終活には予防や健康の要素も重要です。食生活の改善や、コミュニケーション機会の維持なども広義の終活であると言えますが、これまでのサービスは、どうしても手続きなどの法的な対応に目が向きがちだと感じています。そうした、一般的には少し盲点になっている部分の情報もご提供していますので、『終活相談AI』の活用はまさに潜在ニーズの掘り起こしができるツールだと言えるのではないでしょうか。

例えば、どんなに仲の良い友人同士であっても、ご自身の資産について具体的な話はしずらいと思います。親族であっても収入がいくらで借金があってという話はなかなかしないと思います。相手がAIなら気軽に相談できるという、コミュニケーションストレスがないところもご活用いただきやすいポイントです。ご自身のプライベートの深いところまで情報として差し出す訳ですから、相手を選ぶ必要がある、とはいえ弁護士さんや税理士さんでは敷居が高い、こうしたニーズを満たすことは非常に意識しています。

関係性を考えずになんでも聞けるというのはChatGPTの良さだと思います。対人ではないということに冷たさを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、逆にメリットの部分を全面的出していきたいと考えているところです。今はロボットのアイコンがお相手していますが、その子のキャラクターをどのようにしていくのかも悩ましいなと思っています。

ご利用者の感想は、まだ検証できていない部分ですが、定期的に質問してくださる方も増えてきていて、相手がAIであるとはいえ即座に返答が来る部分など、結構楽しく使って頂けているのかなと感じます。単純にAIとのコミュニケーションを求めていらっしゃるという側面もあると思いますので、気軽に使っていただける方をもっと増やしていきたいです。ご自身のタイミングで、待つストレスがほとんどなく会話ができるのがメリットですので、終活以外のことでもどんどんご質問いただければと思います。回答の精度は終活関連より劣りますが、ChatGPTの学習機能によりある程度のことはお答えできますので、終活以外の質問でも体験として楽しんでください。」

Q.終活市場は今後どうなっていくか?

「今では一般化したエンディングノートが話題になったのはもう10年以上前だったと思います。しかし、皆さん実際に書いていらっしゃるのかというと、どうやらそうではないようで、書いても内容を更新していない、どこへしまったのかもわからないということが多いようです。常に手元にあるスマホでなんでも聞けるAIは、こうしたものに代わることも可能と考えています。

家族信託サービスのインタビューの際にもお伝えしましたが、『終活相談AI』についても同様に、必ずしも家族信託が出口というふうには考えていません。お客様のご要望や必要がある場合には、弊社が提携先である士業の方や介護事業者、葬儀会社などをご紹介することで、一気通貫のソリューションサービスという形でご提供する体制にはなっていくんだろうなと思っています。

終活市場については、これからも高齢化は進んでいきますし、人生100年時代とはいえ、75歳以上の後期高齢者には要介護認定者が多くいらっしゃいますので、健康寿命の伸長は課題になってくると思います。そうであれば、先ほど少しお伝えしましたが、終活の分野でも、どうすれば健康なままでいられるか、認知症をどうやって予防しようかというところも含めて考える方が増えてくるという視点があります

もう1点、厚労省が2025年を目処に『地域包括ケアシステム』の整備を進めており、これは高齢であってもおひとりさまであっても、ご病気をされていても、きちんと社会が包摂していく体制を整えるという方針を示しておりまして、ご本人の尊厳ある生活を維持したり、ご家族が介護離職してしまうようなことがないようにサポートするという方向性で考えると、終活市場にとっては追い風と言えるのではないでしょうか。

こうした背景にあって、弊社が『終活相談AI』をいかに育てるかということは重要だと思っていますので、ご利用いただける方を増やせるように頑張りたいと思います。」

Q.終活市場に求められる士業とその関わり合い方とは?

「ユーザーの目線だと、どうしても士業は敷居が高いということを多くの方が感じていて、だからこそ『終活相談AI』が生まれたとも言えますので、そうした点が今後どのように作用していくのか、世の中からどのように捉えられるのかということはあると思います。もちろん、弊社がそれを補えれば良いという思いもありますが、士業がもっと身近で、生活に深く関わる存在であれば嬉しいですね。

そうした意味では、士業の方にも『終活相談AI』を使っていただければ、質の異なるニーズを拾っていただけるかもしれません。遺言書作成や相続は業務の発生を待つという性質のものですが、例えば認知症対策セミナーを起点にしていただくなどすれば、川上から広げることができるようになると思います。ビジネスチャンスになるかもしれませんので、より良くしていくというところへ目を向けていただければ、色々なご意見がでてくると思いますし、何か協業していけると嬉しいですね。

『終活相談AI』の今後といたしましては、メイン事業がある中での開発ですので、大きくは進めづらいところもあるのですが、やはりまずはユーザーを増やしていくことに努めたいと考えております。」

塩路 未芽  プロフィール

システム開発本部 プロダクト開発部 プロダクトマネジャー

美容系アプリや婚活系マッチングアプリなど様々なプロダクトでディレクターやPO、PdMを経験。
ファミトラのビジョンと事業に共感してジョイン。「AgeTech(エイジテック)」でよりよいプロダクトをお届けすることができるよう、日々奮闘中。