元なでしこジャパン阪口夢穂が語る行政書士取得と「プロ論」:阪口夢穂氏

元なでしこジャパン阪口夢穂が語る行政書士取得と「プロ論」:阪口夢穂氏

事務所名:

代表者:

阪口夢穂

事務所エリア:

大阪府

開業年:

従業員数:

Q.プロサッカー選手の肩書返上を発表したあとの周りの反響や自身の変化は?

横須賀 プロサッカー選手の肩書き返上という発表には大きな反響があって、メディアからも取り上げられましたが、その後どうですか?日経まで取り上げていましたね。

阪口 反響あるとは全く思っていなくて、ただの自己満足として言って終わりというつもりでしたが、ありがたくも意外に反応がありましたね。色々なメディアが取材を申し込んでくださいましたが、私自身は1社にお願いすると決めていて、その会社にだけお話をしました。でも勝手に書いている媒体も結構あって面白かったですね。そういう意味で正式なインタビューはこちらのCROWN MEDIAさんが2社目なんですよ。

横須賀 それは光栄ですね、ありがとうございます。雑誌社によって対応が違うんですね。引退の文字を簡単に使っているメディアもあるな、とは思っていましたが。

阪口 私は敢えてその言葉を使わずに発表したんですけどね。大手は裏が取れないと掲載できないので取材させてくれという感じでしたが、公式の記事を受けて報道しているケースもあって様々でした。

横須賀 その発表から約2ヶ月が経ちましたが、お仕事につながるような反響などはありましたか?

阪口 発表によって状況がはっきりしたためか、イベントのお誘いなどをいただくようになりました。それまで外部からは何をしているのか分からない状態でしたので、声をかけ辛いということがあったんでしょうね。メディア的には所属チームとの契約満了という形での情報しかありませんでしたので、そういう意味ではきちんと発信して良かったなと思っています。

横須賀 ご自身の中で何か変化はありましたか?

阪口メディアやイベントへの露出など、表立って出来ることをやっていこうという気持ちになりました。それまでも別に出て行きたくないという訳ではありませんでしたが、どこかもう細々と暮らしていけたらええわと思っているところがあって、そこは心境の変化がありましたね。

横須賀 それは是非やっていただきたいですね。あまり年齢のことを言うのは適切でないかもしれませんが、30代後半から40代くらいは若い人たちと上の世代の人たちの間に立って繋ぐことのできる年代だと思うんですよ。最近はそういうコラボの仲立ちみたいな役割についても考え始めていますので、阪口さんにはこれからも色々と協力していただきたいと思っています。

阪口 確かにちょうど狭間の立ち位置ですからね。ところで士業の世界で35歳という年齢は若手なんですか?バリバリ活躍している30代も多いですか?

横須賀 昔は若手と言われましたが、今はそうでもないですね。活躍している30代も全然いますよ。因みに私が独立開業したのは23歳で、当時は東京都行政書士会の最年少記録でしたが、その後もっと若い方が出たらしくて抜かれたという話は聞きましたね。

阪口 それは若いですね、今でも珍しいんじゃないですか?でも年齢が若いとちょっと舐められるということはありそうですけど、そういうことはなかったんですか?

横須賀 昔に比べて20代の士業は増えたと思いますが、23歳は今でも珍しいかもしれませんね。確かに舐められるということはあって、お客さんの所へ行くと「あれ?今日は先生は来ないの?」ってよく言われましたよ(笑)。あとセミナー講師で呼ばれて行くと「参加者はこちらです」と誘導されるとか。

阪口 助手とか受講者だと思われるんですね(笑)。スポーツの世界だと若かろうが年齢が上だろうが実力の世界なのでそういったことはありませんが、やはり士業だと少し違うんですね。

横須賀 でも一概には言えなくて、例えば商業出版とか明らかな実績が出来ると、やはり若いほうがパワーがありますね。私が初めて本を出した時には「25歳で凄いですね」という反応でした。出版社に認められているみたいな分かりやすい影響力はありますよ。

Q.各メディアで取り上げられていた「行政書士」取得のきっかけと背景は?

阪口 コロナ禍で練習も試合も出来なくなってしまって、ずっと家にいることが多くなったことで勉強に目覚めたんですよね。

横須賀 もともと勉強はお好きだったんですか?

阪口 特に好きではなかったですね。学生の時に成績が良かったかというと普通ですし、進学校へ通っていた訳でもありませんし。

横須賀 当時はやはりサッカーに時間を使いたいですよね。私なんかもレベルが違いますが、休みは大晦日から年明け2日までの3日間しかなかったですから。当時は一応埼玉県で1位の高校だったので、修学旅行先の韓国でも部活をやっていましたよ、体育館を借りるということではなくてホテルのロータリーで早朝ダッシュとかでしたが。

阪口 結構ガチですね。私は高校の運動会とか卒業式にも参加できなかった記憶があります。やはりどうしてもサッカーが優先になるので。昔はスパルタでしたよね。

横須賀 話を戻すと、それほど勉強をやっていた訳ではなかったところから、どうやって行政書士に辿り着いたんですか?

阪口 家業が運送業で、継ぐつもりなどは全くないのですが、どうせなら関連のあることを勉強したいなと思って、まずそのコロナ禍の最中に運行管理者の資格を取得したんですよ。それでちょっと勉強おもろいなって思いつつも、少し自粛環境がマシになってサッカーができるようになってきたので、しばらく勉強からは離れていました。それでもまた何か少し勉強をしてみたいなと思い始めて色々調べていた時に、単純ですけど○○士って付いてるのむっちゃ格好良いやんって。これは怒られてしまうかもしれませんが、士業で1番簡単そうに見えたのが行政書士なんですよ、受験資格もなさそうでしたし。

横須賀 いやいや、自分も一緒です。大学の時に数ある士業資格の中で自分が合格できる可能性が1番高そうだなって思ったんですよね。

阪口 そういう単純な理由で勉強を始めたのですが、率直な感想としてはめっちゃむずいやんと思ったんですよ、全然わからんみたいな。まず言葉が難しい、民法はまだ多少触れたことがあるとしても、行政法とか知らん言葉ばっかりで意味わからんしと。何の知識もない中で一から始めたので、全てが初めて聞く言葉だから問題文も何を言っているのかわからないという感じでした。ですから合格したのはちょっと奇跡に近いと思います。

横須賀 その頃はサッカーの試合なんかと並行している感じだったんですか?

阪口 はい、基本的に午前中が練習だったので、終わった後に。めちゃくちゃ勉強していたというよりも、毎日30分でも何か本を読んだりとコツコツタイプでしたね。

Q.行政書士に一発合格した勉強法とは?

阪口 色々と調べて通信講座に申し込んだんですけど、サッカーもしているので全然カリキュラムが出来なくて。もうそれに則ってやるというよりも講座の教材を教科書代わりにして、独学は言い過ぎかもしれませんが、もうほとんど我流でやっていましたね。とにかく書いて覚えるということをしていました。

横須賀 少し話が飛躍するかもしれませんが、サッカーも我流なんですか?もちろん基本的には指導者がいるとは思いますが、自分の経験で言わせていただくと先生から教わった先は試行錯誤をしながら自分的にはこうじゃないかっていうことを必ずやると思うんですけど、そのあたりはどういうお考えでしたか?

阪口 もちろん技術に関しては小さい頃から教わっている訳じゃないですか。そして年数を重ねていくとチームごとに色々なやり方があるとか、戦術戦略もあるということが解ってきますよね。それはもちろんなんですが、個人のプレーは結局我流になるというか自分で考えてやることが多い、ピッチの中に立ったらもう自分たちだけなので。

横須賀 ちなみに監督の声ってちゃんと聞こえているものなんですか?

阪口 聞こえてるけど聞こえないフリをする時もあります(笑)。こっちのほうがいいやんみたいな。もちろん監督のことを無視する訳じゃないんですけど、基本的にピッチの中では自分たちの判断になるので、迷わずに良いと思うほうを選んでいましたね。

横須賀 やっぱり(笑)。それで勉強も自分なりにこれが良いと思った方法を考えてやったという。

阪口 そうですね、割と要領は良いほうなので、満点を取るよりも合格点を取ったらいいやんって考えてやりました。全部覚えるというよりも、出題されそうな部分を集中して覚えるという感じで、偉そうなこと言ってほんまにしばかれそうですね。

横須賀 いやいや、90分全力疾走しないというか、無理ですよね。どこかで必ず「抜く」ところがあると思います。

阪口 そうなんですよ(笑)。変な話、サッカーは11人でやりますし、常に100%を出さなくてもここぞって時に力を出せればいいですし。

横須賀 サボるというか、全力で90分は不可能でしょうから考えてプレイするって感じですかね。話を戻すと民法なんて千数条ある訳で、全部覚えるなんて不可能ですから効率良くやろうという考えがあったっていうことかと。

阪口 そうです、ほんまにやばいですねあれは。あと試験では初めて見た問題もめっちゃあったんですよ。それはもう勘じゃないですか、もしかしたらそういうのも当たっていたのかもしれないです。一般知識も何が出るか分からへんから、運は絶対にあったと思います。

横須賀 また少し話が逸れますが、例えばサッカーの試合でスコアが1対1だったとしますね。後半ロスタイムで阪口さんへクロスが入ってチャンスが来た時に、絶妙に、ギリギリ入らなかった、直後で試合が終了したとして、どう思います?引き分けで終わって、入れていれば勝ったというシチュエーションです。

阪口 それは結構、ずっと残像に残るかも。その試合の位置付けにもよるけど、例えば勝ったら優勝やったとかだと残ると思う、次の試合までは引っ張るかもしれない。

横須賀 次の試合では切り替えるんですか?それはどのように?

阪口 もう全然。基本的に次の試合が始まっちゃえば、前の試合のことは忘れるんですよ。だから自分でどうこうして切り替えるというよりも、自分の気持ちが次の試合に向かえば勝手に忘れるみたいな。もし引き分けた試合でシーズンが終わってしまっていたら、オフ中ずっと残像が残っているかもしれないですけど、基本的にサッカーって一週間後に試合があるので、その都度更新みたいな。

横須賀 個人的にはアスリートのメンタルや考え方に凄く興味があるので、サッカーだけのインタビューもいつかお願いしたいですね。

阪口 人によると思いますけどね、結局そのシュートを外して引き分けでも、何とも思わない選手も多分おるし、ずーっと引っ張ってる人もおるやろうし。確かにそういう意味では選手によって違うから面白いかもしれないですね。

横須賀 そういうのってコンテンツとしてすごいアリだなと思っていて、アスリートにじゃあその「切り替える」って何ですかみたいな話をしていきたい訳。残像っていうのはどんな時に起こるのか、この時にはどう思ったのかというような。

阪口 なるほど、深掘りみたいな。確かにそういうメディアはないかも、表面的なことしか聞かへんから掘り下げられたら逆に分からへんくなるかも。

横須賀 例えば日本代表へのインタビューなんかも当たり障りのない話が多いじゃないですか、ファンのお陰ですとか。だからそこを掘り下げたいですよね。これは私の中で応用が利いていて、例えばTHE BOOMの山川さんにライブの時に何を大事にしていますかというようなことを聞いたんですよね。武道館で1万人を前にしている時、1番大事なのは思考を持っていかれないことらしいんですよ。例えばライブってギタリストとかほかのメンバーなどが予定にないことをやり始めるんですよね。突然走り出したり。そういう時に「あいつ走ってんな」と意識を持っていかれると自分の中で映像が止まっちゃうらしいんですよ。客席にいる家族を見つけた時も止まっちゃうから、とにかく持っていかれると演奏が止まっちゃう。武道館は客席があまり見えないそうですけどね。

阪口 ほんまに自分のことに集中して、ギタリストが走り出そうが何しようが自分のことを考えるってことですか?

横須賀 自分のことを考えずに周りを見なきゃいけないから、持っていかれたらダメだと。

阪口 あぁそういうことか、なるほど。周囲を見ながら持っていかれないように自分はちゃんとやって。それは話を聞かないと分からへんから面白いですね。

横須賀 そういうことって「プロ」として共通するじゃないですか。例えば誰かが変わったことをする、いつもは左サイドなのに右サイドへ行ってるな、みたいなことに持っていかれると急にカウンターを食らった時にどうしようみたいになっちゃう訳ですよね、詳しくは判りませんが。高い領域ってそういう通ずるものがあると思うんですよ。また阪口さんの話が面白いのでだいぶ飛んじゃいましたが、試験は1回で合格したんですよね?

阪口 そうなんですよ、でも落ちていると思っていました、全然手応えもないし、来年も受けようかどうしようか、でもまた1年勉強するのは嫌やなという感じのメンタルで、取り敢えず合格発表まで行政書士関連のことは特に何もしなかったんです。結果を見て考えようと思っていたら、まさかの合格でびっくりして。あんなもんなんですかね?

横須賀 人によるんじゃないですか。私には判りませんが、阪口さんはアスリートとして世界トップレベルへ行った訳じゃないですか。そういう方が考える勉強と努力と、一般人が考えるそれとではまず定義が違う気がするんですよね。例えば限界まで身体を痛めつける、酷使するという世界でしょうから、それと比較して勉強はそれほど苦ではないと思うんですよ。全然レベルは違いますけど、自分も高校の部活に比べたら仕事ってめっちゃ楽なんで。呼吸できるし監督に手厳しく怒られることはないし(笑)。

阪口 確かに勉強のほうが結果が付いてきやすいかなって思いました。サッカーって幾ら努力しても実らないことも一杯あるじゃないですか。みんなが頑張っても無理なことってあるけど、勉強は自分が頑張れば頑張るほど知識として身に付くしっていうのは思いましたね。もちろん例えばお医者さんとか弁護士の人たちは凄い努力をしてきてるから、またちょっと違うと思いますけど。

横須賀 いやいや、要はある種フェアなんですよね勉強って。

阪口 理不尽がないっていうか、スポーツってあんだけやったのに全然結果出ぇへんぞみたいな、ちょっと理不尽さもあるじゃないですか。

横須賀 例えば身長が伸びないとかね。私は172cmですがバスケの世界では小さいほうで、高校では自分より背の低い人がいませんでしたからね。それで、合格された後はどうされていたんですか?行政書士の資格をどうにかして使おうと思われたんですか?

阪口 試験に合格したところで全く無知じゃないですか。行政書士って何ぞやと調べ出したんですよ。受かったことがゴールじゃなくて、全然わからへんから本とか買ってみたりして、1からまたスタートって感じですかね。

Q.飛び込んでみた「士業」の世界をどう感じたか?

横須賀 実際に士業の世界に飛び込んで、人に会ったりしてどういう風に感じましたか?

阪口 正直、サッカーとかより全然凄いやんと思う。ないものねだりかもしらんけど。

横須賀 いやいや…申し訳ないですけど、世界一になったあなたが言わないでください(笑)。どのあたりが凄いと思いましたか?

阪口 サッカーは、やっている時は凄いかもしれないけど一生は出来ないじゃないですか。でもこっちの世界のプロフェッショナルって変な話、AIがどうとかは別として一生出来る仕事というのはなんか凄いなって思ったし、これ自分が来る所じゃないわって正直思いました。

横須賀 そうなんですね。それでもTwitterやったり情報を集めながら、私にまでたどり着いてくださったと。

阪口 そうです、一応自分なりに頑張って調べたりしました。Twitterマジやばいですよあれ、素性を隠してやってるから。なんかオフ会とかめっちゃ誘われるんですよ。これ行ったらどうなんねやろなーとか、まあ結局は行かなかったんですけど。

横須賀 行けないよね。サッカー知らない人からすると普通のお姉ちゃんって感じなのかもしれないけど。

阪口 でも前職は何をやっていたんですかという話になると、何て言おうかなーとか考えたりして。行かなかったけど、それはそれでちょっと面白そうやなーとか思ったりしますけどね。

Q.プロサッカー選手としての経験をどのように活かしていくのか?

横須賀 士業の世界で具体的に何をやっていこうというのはまだないということでしたが、プロサッカー選手としての経験を活かせそうな感じはしますか?

阪口 せっかくやってきたので何かの形では活かしたいと思いますが、まだこれというものは無いという感じですね。行政書士でどうこうしようというのは絶対ムリやから。

横須賀 それはもったいないですよね。阪口さんな行政書士もこなせると思いますが…やはり素晴らしいご経験をされているので、やはり個人的には色々なお話を伺いたいと思います。

阪口 既にプロフェッショナルが大勢いらっしゃる訳じゃないですか。急に参戦しても何もできないし、行政書士資格を持ってるって自慢しながら何かするのがおもしろいかなと(笑)。

横須賀 最近は色々な人が増えて、タレントをやっている行政書士の女の子とかいますしね。家電大好き芸人みたいな方向性というか、知的なアスリート系みたいな感じでいけば良いんじゃないですか?

阪口 それほんまにキャラ違い過ぎてやばい、みんなにめっちゃ驚かれてるんですよ。

横須賀 そのギャップが良いじゃないですか。

阪口そう、ちょっとギャップ見せちゃってるんですよ。キャラ崩壊説ありますね。

Q.プロとは何か?

横須賀 ちょっと話がサッカーのほうに寄りますけれども、プロサッカー選手として活躍して来られた阪口さんが考える「プロ」とはどういうものですか?色々な定義や考え方があると思いますが。

阪口 そうですね、率直には自分の技術だけでお金が取れるということじゃないですか。そうじゃないプロも沢山いると思うんですけれども、私的にはそう思うかな。お金を払って見に来てくれる、それなりのもの見せなあかんのかな、みたいな。

横須賀 なるほど。見せなきゃ、というお言葉をいただいたのでお聞きしますね。ご自身はこういうプレイがしたいということと、こうプレイしたらみんなは喜んでくれるだろうという両方の気持ちがあると思うのですが、阪口さんとしてはどちらのウエイトが重いんでしょうか?

阪口 私は結構、後者のほうが強いかもしれないです。例えば2つのプレイで迷った時に、こっちのほうが喜んでくれそうだなって選んだりする時がありました、余裕がある時ですが。こっちのほうが観客沸きそう、みたいな(笑)。

横須賀 凄いですね。いや、でもプロの領域だから出来る話で、試合を壊している訳じゃないので。

阪口 でもワールドカップなんかは無理ですよ、必死やし。もちろん必死にやることも大事やけど、私の中ではちょっと遊び心みたいなものを大事にしていて。やっぱお客さんは面白いものを見れたほうが、また次の試合も見に行こうって思ってくれると思うし、自分も楽しむ、観客も楽しむみたいな感じでやっていたかもしれません。でも選手によって違うと思うんですよ、必死にやることがそれに繋がるという選手もいるでしょうし、私はその中でもちょっと面白いことを、遊び心を持ちながらやりたいなと思ってやっていたんですよね。

横須賀 誰が誰の存在によって成立しているのかを考えていた訳ですね。サポーターがゼロだったらサッカーの試合も成立しませんし。阪口さんの肌感覚で良いのですが、他のサッカー選手やアスリートはどちらにウエイトを置いているのでしょうか?自分を追求するのか、阪口さんのように周りのことを考えているのか。

阪口 後者は残念ながら少ないと思う。余裕がない選手のほうが多いかもしれないです、必死に目の前のことを一所懸命やる。大事なんですよもちろん、当たり前でもあるし、若い時は仕方がないとしてもある程度になったらそこにちょっと余裕が欲しいんですよね。 特にプロ選手は楽しませるのもお仕事なので。

横須賀 いやいや、大事ですよ。私のセミナーでも、やはり遊び心は大事にしています。そういうことを全部排除して詰め込めば、もっとノウハウだけになる筈なんですが、それって面白くないんですよね、講師としても楽しめないと言うか。

阪口 確かに、ずっと真面目にだーって喋られてても聞き手としてはつまらんかもしれないです。

横須賀 別にセミナー講師だから笑わせなきゃいけないということはないんですよ、笑われてるかもしれないですが(笑)。でもやっぱり聞いてくれている人が楽しく面白くためになる、というのが1番良いと思うんです。だから私の配信って割と一瞬で終わると思うんですけど。

阪口 そう、あっという間やったなっていうのが多分最高じゃないですか。なんか退屈な1時間やなっていうのはちょっとアレですもんね。「遊び心」って私めっちゃ大事にしている言葉です、みんなに強要するつもりはないですけどね。

横須賀 それをするにも一定以上の技術が要るってことですもんね。私は全く同じレベルではないですけど、ちゃんとしたことをやった上で遊びを入れていかないと面白くない、聞いてくれている人がいるのでって思います。

阪口 そうですね。遊びだけに走ったら、それはただの遊びになるので。なんか全然ちゃんとしたこと喋ってないぞってなったら本末転倒ですし、プロの領域に遊びがあるから深い

横須賀 そういうお話をみんな聞きたいと思いますよ。

Q.現在の活動や、今後の展望は?

横須賀 それでは最後ですね、これからどんな活動をしていこうと思われていますか?

阪口 どんな活動をしていけば良いか、逆に聞きたいんですけどね(笑)。

横須賀 (笑)こういうトークならいくらでも出来ますから、また一緒に何かやりましょう。サッカー談義はお好きでしょう?

阪口 確かにサッカーを教えるより、話してる方が好きかもしれないですね。サッカー談義は自分の話で良ければ全然、為になるかは別にして、余すことなく経験を語れるし、結構大きな怪我も何回もしてきてるんで、そういう意味でも寄り添える気はします。

横須賀 これからの活動に期待していますね。

阪口夢穂 プロフィール

1987年、大阪府出身。2011年FIFA女子ワールドカップドイツ大会優勝メンバー。国際Aマッチ124試合出場、29得点。2012年ロンドンオリンピック銀メダル。日テレ・ベレーザ時代になでしこリーグ3連覇に貢献し、2017年には史上初となる3年連続での最優秀選手賞に選出。ベストイレブン7回。2023年、プロサッカー選手の肩書を返上。2022年に行政書士試験に合格、新たなステージでの活躍が期待される。2023年、元なでしこジャパン田中明日菜のYouTubeチャンネルに出演。