- 事務所名:
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株式会社マネミル
- 代表者:
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亀山 陽平(総合資産戦略パートナー)
- 事務所エリア:
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東京都渋谷区
- 開業年:
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2021年5月
- 従業員数:
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1名
目次
Q.2023年の資産形成の情勢を振り返って思うことは?
「一言で申し上げるならやったもん勝ちというか、まあ負けないというのが1年の情勢を振り返っての所感です。例えば、多くの皆さんがアメリカや日本を中心に投資をしていると思いますが、アメリカはS&Pが2023年全体を通じて24.5%上がりましたし、日経は28.5%上がりました。その他、ドイツやイギリスあたりも上がっていますし、実は金もプラス14%で、唯一ダメだったのは中国くらいです。
中国は香港ハンセン指数がマイナス13.8%、それも実は3年連続下落だったりしますし、あとは上海総合指数もマイナス4.3%でこれも2年連続の下落なのですが、なかなか中国だけに投資をしている人はそれほど多くないと思いますので、通年でパフォーマンスリターンが下がってしまった人は殆どいないんじゃないかな、という1年でした。」
Q.2023年に起きた資産形成の情勢の傾向と特徴は?
「実際に現場で投資をしたいというお客様と触れ合って感じるのは、今まで資産形成や投資に関心がなかった、現預金を好んでいた層が関心を持ちはじめたということですね。こうした方々も興味を示すようになったのかと、割と驚いた1年でもありました。
また、新NISAの影響もあってか、投資信託で資産形成を新しくはじめる方も増えてきましたね。YouTubeや投資関係の書籍でインデックスファンドと全世界株式を勧める発信が多かったので、それを受けてということもあるようです。こうした方々は基本的に全世界株式か全米株式のインデックスファンドをやっているので、全米株式に投資した人は当然アメリカなので勝っていますし、全世界株式も実質的には6割がアメリカですから、まぁ強かったですね。
ただ、実際に牽引しているのは、いわゆるマグニフィセント・セブンと言われる、GAFAMにエヌビディアとテスラを加えた7社で、特にエヌビディアはプラス249%、1年で2.5倍のリターンでした。よくアメリカは凄く伸びていると言われていて、確かにここ10年で日本と2倍近いパフォーマンスの差が出ています。ただ面白いのは、S&P500からGAFAMを除いたS&P495という指標がありまして、これが実はTOPIXとほぼパフォーマンスが変わらないんですよ。
つまり、アメリカは全体的に凄く株価が伸びているという印象を受けますが、実態としては一部のスター的な会社が牽引しているという極めて歪な状態で、そこがアメリカの面白いところでもあるんですよね。最近決算が出たAppleは、一時期ジョブズを失ったことで不安視されていましたし、ここ2年ほどは中国での落ち込みなどもあり不調ではありましたが、iPhoneの販売数も徐々に回復していて、ジョブズ亡き後も上手く承継できているなという感じがします。Vision Proも正式発売前に事実上の完売になっていましたしね。」
Q.どのような人が資産形成に成功した?
「大きくは2つのことが言えるかなと思っていまして、多分これはビジネスでも同じでしょうけれども、1つ目はやはり行動できる人ですよね。色々な方と出会って思うのは、証券口座を開いただけという人が結構多いなと。ネット証券なら気軽にはじめられるとはいえ、手続きには色々なプロセスを踏みますので、それができなかった人もいるようで、事実2023年のデータではNISAのために証券口座を開いたものの投資をしていないという人が49%ほどいるということで、証券会社の方も商売上がったりだと仰っていました(笑)。積立の設定そのものができないなど、初歩の初歩で躓いておられる方も多いですね。
2つ目としては継続できることだと思います。私は基本的にチャートを見ないほうが良いと思っているんですよ。プロのトレーダーでガンガンやっていく人は別なのですが、本業があって、本業で得た収入を増やしていこうという投資家の方は、目先の価格変動に一喜一憂せず、チャートを見ないでひたすら継続することが大事で、振り返りは月に1度で十分なんです。
意外と、経営者としての成功と投資家としての成功はイコールではない気がしています。理由を考えたのですが、やはり投資が成功する1つの要素として、淡々とやり続けるというポイントがある一方、経営が上手くいっている経営者はPDCAを高速で回したり、軌道修正したがる傾向にあると思うんですね。敏感に気づくからこそ経営は上手くいくのでしょうが、投資ではそれをやり過ぎないのが負けないポイントになるので、経営で上手くいっている人が変な投資案件に手を出してしまい、本業の資金繰りにまで悪影響を及ぼしてしまったということが案外多いです。
ご質問に戻しますと、途中でコロナショックがあり一時は下げましたが、正直この10年は金融緩和で全体の世界株式はずっと上げ相場でした。真価が問われるのは下げ相場で、いわゆるリーマン・ショックのような大きな危機が来た時にどう対応できるのかで、成功するか失敗するかという明暗が分かれると思います。」
Q.2024年の資産形成の情勢はどうなる?
「世界全体を通してみても、日本をみても、基本シナリオは強いという風に考えています。日経平均も数字だけ見れば過去最高値を超えるんじゃないかと言われていますし、私も実際に超えるのかなという風に見ているところです。大体年末あたりになると、各ビジネス雑誌が来年の株価などを総予測する特集を組むので、それを取っておいて1年後に見てくださいと言っているのですが(笑)、大方の専門家が為替について今年はドル安円高だと予測しています。
なぜなら、アメリカが昨年まで利上げしていたのを止めて利下げに向かっていく中で、日本は少しずつ金利を上げていくんじゃないかと、そうすると日米の金利差が縮まるので、ドルから円に流れて円高ドル安になるよね、という予測を大半の人がしています。しかし、私は結構それに対して懐疑的で、為替は色々な要因で動きますが、日本のGDPが4位に落ちたことを考えると、国力が下がっている国の通貨が強くなるということは歴史上ありませんからね。
日経平均は38,000円台を超えてきましたし、NYダウも最高値をバンバン更新していて非常に強い中、新NISAで個人のお金が株式市場に入ってくるというのは、為替を考える上で結構バカにできないんですよ。現在、NISAのシェアはほぼネット証券で、トップ5社がNISA口座の6割強くらいを占めていますが、毎月の積立金額が2,300億円くらいあって、年間で2兆7,600億円になります。全体の10割にするとNISAだけで年間4兆6,000億円くらいの規模ということになりますが、このお金がどこに流れるのか。
QUICK資産運用研究所の集計によれば、年明け以降に買われた投資信託の8割がS&P500と全世界株式の2つなんです。先ほど申し上げた通り全世界株式は6割ほどがアメリカですので、日本円から米ドルへの逃避が投資を通じてどんどん進んでいくということになります。日本の経常収支は10兆円くらいの黒字ですから、約5兆円の80%が海外のファンドに流れていくという、このインパクトは相当に大きなものですよね。一時は有事の円買いと言われたように、日本円も米ドルと並ぶほどの信頼があったものですが、だいぶ安全資産としての円に疑問を持つ人も増えてきているようです。
あらゆる媒体からS&P500や全世界株式を推奨する情報が流れている中で、日本株を選ぶ人は少ないということはあると思いますが、キャピタルフライトという言葉も出てきていますし、やはり日本はこうした日本からの資本逃避リスクを国として考えていく必要があるでしょう。米ドルのポジションが揺らぐんじゃないかと言う人も一部にはいますが、貿易の6割を米ドルが押さえ、世界の中央銀行も6割は米ドルで持っているという基軸通貨としての価値は、少なくとも我々が生きている間には揺るがないように思いますけれどもね。
BRICSの台頭という話もありますが、政治体制そのものが異なる加盟各国の思惑がある中で、それをまとめて米ドルに替わる共通通貨を作れるのかというと、難しいかなと。アルゼンチンで法定通貨を自国通貨からドルに変えたという逆の動きがあったくらいですからね。」
Q.これから求められる資産形成支援に関わる士業・コンサルタントの役割や必要なこととは?
「相場の予測を士業の方がやる必要はないと思っています。それは他にプロがいますし、そもそも中長期投資をメインにしている人は、相場の予測をそれほど意識しなくて良いのかなということがありますので。士業の方やコンサルタントの方にとって大切なことは、やはりクライアントさんの関心度が高い問題にアプローチすることではないでしょうか。
そう考えると、クライアントさん、仮に経営者だとすると、多くの人にとって関心度が高い事の1つに法人と社長個人の手残り資産をいかに最大化するか、ということがあると思います。これを総合的に考えてアドバイスができる人は意外といないという風に私は見ていて、今日お話した経営者さんも、税理士さんは法人のほうを見てくれるけど、社長個人のことも含めた税金のアドバイスや資産をどう残すかという話はしてくれない、ということを話していましたね。
金融機関なども同様で、銀行や証券、保険などの営業マンは、自社の商品を一所懸命プレゼンするけれども、総合的に考えてアドバイスをしてくれる人はいないとなった時に、士業の武器として信頼性と中立性がある訳です。やはりどこぞの営業マンよりは、日頃から見てくれている先生に中立的な立場でアドバイスをもらいたいというニーズはあると思いますので、クライアントさんの手残り資産を最大化する支援は大きなビジネスチャンスであると共に、成長できる可能性を秘めているのかな、という風に考えています。」
株式会社マネミル 代表取締役 総合資産戦略パートナー
青山学院大学経済学部卒業。大学卒業後、入社した一部上場保険会社にて法人・経営者対象のライフプランニング事業に9年間従事。
2015年度に新契約高で全国No.1の実績を挙げる。
法人と社長個人にお金を残す資産戦略構築の専門家。これまでに1,200名以上の社長の資産戦略をサポート。製造業、建設業、小売業、飲食業、美容業、IT業、不動産業などクライアントの業界は多岐に渡る。
クライアントの資産規模は、個人事業主の資産形成層から資産10億円の富裕層まで幅広い。
保険会社の資産運用部門において、国内・海外の株・債券・プライベート・エクイティの投資にも従事。年間100名以上のファンドマネージャーとの面談経験により、豊富な選択肢から、お客様のニーズに最も合致した商品提案を得意とする。
税理士事務所、不動産会社、歯科医院などで資産形成・運用などの講演、セミナー、研修を実施。
【資格】・国家資格FP ・証券外務員一種 ・M&Aマッチングアドバイザー ・TOEIC 915点
【出版・メディア掲載】
・書籍:『金持ち社長 貧乏社長』/セルバ出版
・電子書籍:『うまくいく税理士 アウトな税理士 生き残るのはアクティブ税理士だけ!』
・書籍:『「伝えたつもり」をなくす本』/中山マコト著
・書籍:月刊プロパートナー2021年10月号
・対談記事:マイナビニュース「資産運用のプロが解く“ゴールベースアプローチ”の重要性」
・記事:ZUU online