ZoooU 新サービス「消費税判定と届出」で変わること:株式会社Beso 白木淳郎氏

ZoooU 新サービス「消費税判定と届出」で変わること:株式会社Beso 白木淳郎氏

事務所名:

株式会社Beso

代表者:

白木淳郎

事務所エリア:

大阪市

開業年:

2019年9月

従業員数:

10名(役員除く)

Q.「ZoooU」の現在について教えてください

「前回の取材は3月でしたが、そこから変わった点としては、まずユーザー数が順調に伸びていますね。また、大手税理士法人さんと資本提携という形で共同開発を進めていて、大手に向けても機能をアップデートしていますので、より広範囲の先生方に使っていただけるシステムになりました。更に、週1回くらいのペースでアップデートを繰り返しており、機能の網羅性と申しますか、以前よりも出来ることが多くなってきたこと、これはユーザー数の増加と直結しているところですね。

具体的なアップデートの中身としては、まず、不定期で発生する業務の管理も出来るようになりました。例えば税額によって発生のトリガーが分かれるようなもの、年に数回の申告が必要なものについても管理ができるようになっています。基本情報に税額を入力していただくことでイベントスケジュールに反映される仕様で、忘れがちな不定期業務の漏れを防ぐことができますし、税務署から直接クライアントへ納付書が送られてくるケースなどについて、クライアントが安心できるように税理士さんからアクティブに訴求していくといった、バックオフィスとしての品質向上にも貢献できる機能の搭載が1番のポイントです。

スポット案件の管理は本当に大変で、事務所全体となると先生が逐一チェックしておかなければいけないという体制に行き着きますので、10名未満の事務所では代表の先生によるタスクベースのマネジメントが非常に多いようですね。そうした代表の先生のお手を煩わせないような、且つミスを防ぐことができるようなシステムになっていますので、工数削減やリスクヘッジも可能になったのではないかと思っています。

やはり士業は、プロフェッショナルとして1つのミスも許されないという、正確性や的確性が必要な業務ですから、そうした面でのマイナス要因を作らないことの重要性は、私自身も会計事務所で感じていたところです。ここをクリアしておかないと、コンサルティングなどその先の信頼を築けない、サービスを提供し辛いということはあると思いますので、網羅的な業務管理でまずは安心感を持ってもらい、次の付加価値業務に繋げていただけると非常に良いと思います。

ユーザーからの反応とその対応に関しては、大手事務所との提携による兼ね合いで、ご紹介や、規模の大きな事務所からのお問い合わせが増えてきていますので、大規模向けの機能を開発しなければならないなと感じているところです。

例えば顧問先の基本情報は現在手入力で登録していただいているのですが、スプレッドシートや顧客管理システムなどに顧客情報を蓄積しているユーザーが多く、改めて入力するという手間や、最新の状態か否かが判り辛いということがネックになっているため、申告書などの確定データから反映するなどの自動化を進めています。顧客の基本情報をトリガーとしてタスク生成などが自動化されていきますので、ここは重要なブラッシュアップです。手入力は極力無くしていきたいですね。」

Q.「消費税判定と届出」の開発背景について教えてください

「まず概要からご説明いたしますと、国策として、特に税の種類としては消費税の税収が1番増えているというところがポイントだと思っておりまして、今後インボイス制度の導入や税務調査なども含めて消費税は肝になってくる、対策を打っていかないといけない、ということがあります。これによって税理士さんの報酬が上がるという側面もありますが、業務が煩雑になるのは明らかなデメリットですよね。

税理士職業賠償責任保険のデータによると、税理士の業務ミスによる保険適用は約半数が消費税に関わるもので、9割が仕入に関する計算方式の選択ミスと、届出の提出漏れだということです。計算方式は条件分岐が非常にややこしいですし、届出は適用の1年前に提出しなければいけませんので、更に前年から有利不利のシミュレーションが必要で、スパンが長いため提出期限の管理が漏れてしまいがち、という背景があります。

また、仕入に関してはヒアリングの際に大型の設備投資を拾い切れず、計算方式の判定ミスが年度を過ぎてから発覚してしまうようなこともあり、割と頻繁に賠償責任保険が適用されているようですね。簡易課税の有利不利についてもシミュレーションの漏れが多いようですし、こうした損得に直結してしまうような、大いに気を遣うミスには保険適用の他、引当金の設定などもされていることから、発生頻度やリスクの高さが消費税まわりの開発に向かわせたということがあります。

クライアントが企業の場合は、基本的にミスが発覚すると賠償という話になりますし、それだけならまだ良いのですが解約に至ることもあり、賠償金を支払った上に解約されるとなると最悪です。それによって保険料も増加するなど、良くないこと尽くめで非常にコストがかかってしまいますので、このようなことを防いでいこうとうプロダクトになっていますね。」

Q.ZoooUの「消費税判定と届出」とはどのような機能・サービスですか?

「まず、クライアント別に串刺しで、過去から今にかけてどういった届出が出ているのか、消費税区分、期日、シミュレーションの結果などがステータスで判定できるように一覧表示されますので、事務所として担当者が管理しなければいけない内容が一元管理できるようになっています。

また、前年に何を提出したのかという記録だけでは、税務調査が入った時になぜそれを選択したのかという根拠が分かりませんので、代表の先生が選択に至るプロセスとして判定フローを確認できるようにしました。

各プロセスは標準化できますので、これに沿えば未経験者の方でも有利不利の判定などをクライアントに提示できるような形になっています。インボイスの登録状況や、高額特定資産の管理、新設法人・特定新設法人など特定の場合のみ該当する項目についても注意すべきポイントを含めてカバーしていますので、抜け漏れの防止や効率化にもお役に立てると思いますよ。

プロセスとしてデータを入れていただくと、会計ソフトから転記していただく直近の課税売上高、別途ご用意いただく根拠資料やシミュレーションシートなどを参照した上で、適用が自動判定されます。シミュレーションシートは会計ソフトから消費税区分などの情報を引用して弊社が作成をお引き受けしているもので、そのまま顧問先へサマリーとして見ていただける資料としてもお使いいただけますので、これに基づいて合意形成された選択であることをチェックして確定する、というフローです。こうした消費税の判定届出の一元管理が、プロダクトの概要になります。」

Q.「消費税判定と届出」を、税理士はどのように活用できる?

「まず、先生が全てをチェックしなくても済むと申しますか、本当にあれはちゃんとシミュレーションしたのか?顧問先へのヒアリングは済んでいるのか?この判定結果の根拠は?といったことを、いちいち担当者へ確認する手間を削減できるという効率化の側面があります。

あるいは過去の履歴ですね、プロセスを見返す際にもなぜその判定結果になったのかという中身がログとして残っていますので、顧問先から尋ねられた時にもきちんと答えることができますし、引き継ぎの際にも前任者がどのようなプロセスを踏み、どういった提案をしたのか、経緯が明確に判るということは大きいと思います。

更に、先ほどお伝えしたように、賠償責任や顧問解約のリスクを下げることも出来ますね。また、これも少し触れましたが、未経験者でもプロセス通りに進めることで形になりますので、OJTにも活用していただけるのではないでしょうか。」

Q.「ZoooU」の展望は?

「今は手入力で対応していただいている部分もどんどん自動化していきますので、今後は更に税理士さんが余計なところに気を遣わなくても済む、1番リスクが高いところに神経をすり減らす必要がなくなるようなプロダクトになる予定です。こうした標準化は自分たちの思いでもありますので、注力したいと思っています。

また、消費税に関しては判定結果の次は実際に税務署への提出をしなければいけませんので、これを税務イベントにタスク自動化していくということも直近の開発の展望です。判定のプロセスについて手入力を削減したいということは先にお伝えした通りですが、税理士事務所は10名未満という規模が圧倒的に多いことを考えると、代表の先生がトッププレイヤーであることも多い、ですから、代表が余計なことに労力を割く、手を煩わすという状況の改善をサポートできればと思っています。

やはりこれからは生き残りをかけて、付加価値業務や税理士業務以外のところで収益を獲得していかなければならないという環境に突入していくと思いますので、定型的な業務に関してはプロダクトを使うことで出来るだけ効率化、標準化していくことが絶対に必要で、よりプロフェッショナルとしての力を活かすという意味でも使っていただきたい、ユーザーに届いて欲しいなという思いを持っていますね。」

白木淳郎 プロフィール

大阪生まれ。大阪の南森町で育ち、3歳から野球を始める。その後、野球を26歳まで続け、プロ選手として活動。

引退後、公認会計士の勉強を開始。「コンサルティング業務やクライアントのサポートがしたい」という想いから、税理士を目指します。2014年から2019年まで、大手・中堅・小規模の3つの会計事務所に勤務。古くからの税理士業界の慣習に疑問を持ち始め、同時に「税理士業界を良くしたい」という想いが強くなってきました。

2019年9月、税理士業界にイノベーションを起こすべくBesoを創業。「クラウド会計のフル活用」「月次決算」「経営のリアルタイム化」による、企業の成長に尽力します。そして開業から1年で、freee5つ★認定アドバイザー資格を取得(freee史上最短催促記録樹立)。2年で300社のfreee導入、freee内製化支援により、企業をサポート。

それでも、税理士業界は構造から変える必要性があることを実感し、2021年からは税理士の価値を最大化するため「税務SaaS」の開発に着手します。2022年6月には、税理士事務所と顧問先様のためのプロダクト「ZoooU」のオープンβ版をリリース。