税理士法人Besoは、税理士業界の新星となるか?:税理士法人Beso仲田芽衣氏

税理士法人Besoは、税理士業界の新星となるか?:税理士法人Beso仲田芽衣氏

事務所名:

税理士法人Beso

代表者:

仲田芽衣(代表税理士)

事務所エリア:

大阪府大阪市

開業年:

2019年9月

従業員数:

約10名

Q.税理士業界の現状をどう認識しているか?

「今が本当に過渡期だなという一言に尽きると思っています。やはり既存の、これまでは”先生業”だったビジネスモデルから、今後生き残っていくビジネスモデルへの移行期間だと感じていますね。国としてもデジタル化を進めていて、これまではアナログが主流だったレガシーな業界に動きが出てきたことは、時流に乗れるか否かの転換期でもあるということですので、淘汰されるのか生き残っていけるのかということもありますが、チャンスだと捉えてもいます。

また、金融機関なども同様ですので、税理士業界に限ったことではないと思いますが、やはりもう中小企業もデジタル化していて、コロナ禍を経て税理士に求められることの質が変わってきたように思いますね。色々なツールも出てきて、e-taxですら非常に使いやすくなったことも環境が変わったと感じます。」

Q.現状、貴事務所が永続できている要因はどこにあると考えているか?

きちんと戦略を立てて、差別化しているところが大きいと思います。独立前から戦略や経営ビジョンに関しては割と考えていて、それに沿った動きをしてきました。私が独立した頃には、すでに税理士事務所が3万、税理士は8万という登録数でしたので、自分たちがその中へ飛び込んでいくには差別化しないと選んでもらえないということを最初に考えましたね。また、新しいことにチャレンジし続けていることや、やってみて気がつくことがたくさんある中で、都度そのあたりを軌道修正してきたこともポイントだと思います。

差別化の内容としては、『freee』に特化したことと、コンサルをやっていたこともあり高付加価値を提供したいと考えていましたので、顧問業務以上コンサル未満のサービスを提供することで差別化を図りました。顧問業よりも少し高い報酬設定で、月次決算を絶対にやるという風に特化して注力したというところです。顧問業の現在の相場は3万円を切るくらいなのですが、我々が最初にサービスを展開した時は最低料金が39,800円で、中小企業だけでなく個人事業主へも提供しているにも関わらず、値下げ交渉は特にされませんでしたので、結果としてお客様からの反応も非常に良かったですね。」

Q.貴事務所経営の採用と教育に関しての考え方と指針は?

「独立する前から日本一大きな税理士法人にしたいという野望を持っていて、もともと組織化を考えていました。今となってはそれが最良の選択肢ではなかったかもしれないのですが、”1番になる”と考えた時には一気に拡大したい、人数も増やしていきたいという思いが漠然とありましたね。

もちろんお客様ありきの業務ですので、品質の向上は全体的かつ継続的に取り組んでいきたいことではありますが、組織論として採用時点で特に意識しているのは、ハードスキルよりもソフト面に着目することです。具体的には共感してもらえることがまず重要で、カルチャーフィットというか、我々がやりたいことに対して応募者の思いが一致していることを前提に、変化に対応し続けることができるのか、という点も意識して見ています。技術的なことは後からついてくると思っていますので、喫緊の人手不足ということでない限り、もちろんそのような状況は避けて採用を行なっていますが、ソフト面を重視しているという感じです。

教育に関してはOJTが大事だなということを凄く実感しています。割とこれまでは”習うより慣れろ”というスタンスでいたのですが、それでは上手くいかないこともあると分かってきたので、時間軸を意識した上でのOJTの重要性を踏まえた方針に切り替え始めたところです。また、弊社はITやDXを強みとしていますので、関連する業務を獲得してきて、業務をこなしているうちに気がついたらITに強い人材になっていた、というような環境を作りたいと思っています。やはり我々は中小企業と接する業種ですので、ITやDX関連までカバーして支援ができるということは非常に良いことだと考え、注力しているという感じですね。

Q. 貴事務所が得意とする業務についての現状と未来予測は?

「我々の得意分野はDX支援ですが、これに関しては絶対的な人口減少が見えて来ている中で、もう必須ではないでしょうか。これまでと同じように人手で解決していくことが不可能になる以上、誰がやってもある程度は同じ効果が出せることについてはIT化を進めて、人間が割くべき部分に注力できる時間を捻出すべきという考えです。ニーズもありますし、絶対にやっていかなければいけない、やっていかざるを得ないことですので、まだまだ今後伸ばせるチャンスがあると思っています。

また、DX支援をサービスの入り口として、出口で財務支援や資金調達、管理会計の支援につなげていきたいという構想を元々持っていましたので、それを考えると製造業や建設業の顧客獲得が必要になってくると考えているところです。収益化という側面からも、入り口からバックエンド商品まで一気通貫にできますので注力していきたいですし、これらの業界は我々が思っている以上にDXが進んでいない領域ですので、アプリ開発も含めて展開してけたらと思っています。

未来予測としては、業種特化とDX支援の組み合わせであと3年〜5年くらいはいけるんじゃないかなという気がしているのですが、横須賀さんはもっといけると仰っていますね(笑)。確かにそうかもしれませんし、ChatGPTなどのAIツールがどうなるかも気になるところではあります。DXは、導入が完了したら一旦は終わりですが、社内整備が進むとやはり経営者は次の投資や資金繰りに悩まされるということがつきものですから、そうした展開にも強い人材を育てて、Besoとして提供できれば凄く価値のあるサービスになるかなと思いますね。」

Q.これから生き残っていける士業事務所の条件とは?

「あくまでもBesoとして思っていることですし、今後は税理士の働き方や資格の活かし方が凄く変わってくる、多様化してくるという前提の元ではあるのですが、大きく分けて3つあると考えています。

まずは誰がやっても同じ作業に関しては、徹底的な効率化が絶対に必要だということです。それを実現するためにも、やはり社内オペレーションは統一したほうが良いと思いますので、業種特化や規模特化など、特化の方向性かなと考えていることが2つ目になります。

3つ目は、付加価値業務も絶対に必要になってくるということで、そしてこれは属人化させて良い部分だとも思っています。これが強みになってきますし、そうしたことが今後求められてくる業界だとも思っていますので、生き残るためには重要だと感じている部分です。

最後に、前提として触れた多様化についてですが、これまでは税理士の資格を取得したら税理士としての仕事をしなければならないといったような、申告だけが仕事なんだという風潮が一部にはありましたが、今は副業で税理士やってます、1日4時間しか働きません、事業会社に入ります、コンサルやります、あるいは確定申告だけ対応するといったような、色々な人たちが出てくるのではないかと思いますね。」

仲田 芽衣 プロフィール

2014年 同志社大学商学部 卒
2016年 兵庫県立大学院経済学研究科 修了、京都の税理士法人に入社
2019年 Beso groupとして創業
2020年 freee導入実績60社、1年でfreee5つ星認定アドバイザー資格を取得
2021年 freee導入実績50社、第二創業として税務SaaSの開発に取り組む
2022年 税理士法人化(大阪、奈良、東京3事務所展開)