- 事務所名:
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Legal AI 株式会社(リーガルアイ)
- 代表者:
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渡部薫
- 事務所エリア:
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東京都文京区
- 開業年:
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2021年7月
- 従業員数:
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約1名(ただし開発者は10数名)
Q. Legal AI の回答精度は?
「実はChatGPTには各種のAPIが用意されていて、こちらである程度の設計ができるようになっています。ですから我々も試行錯誤して、普通に使うよりはなるべく法律の情報だけを回答するようなカスタマイズにチューニングした成果が出ているというところですね。具体的にはもちろん企業秘密なのでお話できないのですが。」
Q. Legal AI ver.1.1 で何が変わったのか?
「最初のローンチは7月20日でしたが、ステルスオープンで日経のプレスリリースに合わせた日程でしたので、早々にVer.1.1にバージョンアップするというスケジュールになりました。
まず、会員登録ができるようになります。会員登録種別は2種類で、一般会員と資格者ですね。まだ調整中ですが、氏名などのプロフィールを入力して、資格者の場合はリストから選んで登録した資格が、顔写真の下に表示される”役職・ポジション”へ自動で反映される仕様になっています。ただ、今のところダブルライセンスには対応できていないので、検討が必要かもしれません。取り扱い分野についても今後は増やしていきますが、現在20数個から選択可能で、得意分野として役職・ポジションの下に表示されます。3つくらい選んでもらうと良いのかな、ご自身の特徴になりますので。
なお、まだ資格証明確認は入れていませんが(登録性善説)、やはり本物かどうかの資格証明が必要だろうということで、増えてきたら事後確認の予定です。審査が完了して確認が取れたら、顔写真の下に認証アイコンを表示させる予定で、Twitterの認証バッジをイメージしていただけると良いと思います。現在は僕の確認のみで、本物認定した場合はアバターに認証マークが付きます(実装済)。前述の自動化プロセスは今後実装予定です。最初は弁護士から始めて、登録番号もあるし嘘をつく人なんていないだろうと性善説に立ってやっていたのですが、色々な先生からそもそも弁護士を名乗るとまずいのではないかと言われたんですよね。実は、事前に著名な弁護士の先生5〜6名に法的リスクを検証してもらっていて、AI弁護士なんて世に出したら刺されますか?って尋ねましたら(笑)、72条や74条に気をつけなさいというアドバイスをいただきました。
そこでやはり弁護士という名称は使わずに、『理上愛子(リーガルアイコ)”AI”弁護士』にしていたのですが、架空の人物であっても弁護士と名乗らせた上で法律相談に乗ると74条に抵触すると言われましたので、最終的に”法律家”に変えたんですよね。ツールは弁護士を名乗れませんが、本物だったら良いということでしたので、本人だと誤認させないように”AI弁護士アシスタント”にしました。より安全性を担保するとしたら、ということで1つずつ解決していったんです。ですから、ユーザーもログアウトしてログインする度に免責事項に同意しなければ先に進めません。
資格者として登録されると、専用の画面に表示され、ユーザーは氏名等を検索して探せるようになります。相談する相手を見つけたら、プロフィールの連絡先から”この先生に連絡をとる”というアクションができますので、その先は個別の対応になるといった感じで、そういう意味では弁護士ドットコムのAI版みたいなイメージだと思います。連絡先は登録したユーザーだけに表示される仕様ですので、専門家にとっては直接相談したいと思っている見込み客との導線を1つ増やしていただけるのではないでしょうか。
事務所登録もできますので、その場合は事務所メンバーの一覧にも表示されますね。費用は事務所単位ではなく、所属人数によって変わります。登録人数が増えてきたら、士業別や地域別などの条件検索や、マッチングアプリのように自動でレコメンデーションされたり、一般ユーザーの方が探しやすいようにしていく予定です。」
Q.今後、どのような機能を実装する予定か?
「例えば確定申告に関する質問をしたら、回答としてユーザーの住所近辺で対応できる税理士をレコメンデーションしてくれる、あるいは自身の専門でない質問に対しては専門家を紹介してくれるような機能も予定しています。普通に人間がやっていることを、AIに代替させるような設計になっていますね。
我々の開発が追いついていないというのが正直なところではありますが、一応Ver.1.1ではこれらを無料でご利用いただける状態にしておいて、準備ができ次第に月額1,000円くらい課金させていただく予定ですので、今はお試しで使っていただければと思います。先行して登録しておかれると、少し有利になる感じです。ゆくゆくはご自身のサイトやプロフィールページに置いてもらえるような形にしたいと思っています。
また、優先的に実現したいと考えているのが、簡単な事前相談をテンプレート化してヒアリングの業務をAIに代替させる機能ですね。例えば相談が多いジャンル、交通事故や遺産相続、会社設立など、トップ5に入る相談内容かつ、ヒアリングが必要な業務について、会話形式のテンプレートを作って依頼を受ける前の対応をAIに任せたいんですよ。会社名などの基本項目だけでも士業の負担は軽減されますよね。弁護士から始めて、各士業に展開していく予定です。弁護士や士業の方は通常、初回無料(30分~1時間)で相談に乗っていると思いますが、この人件費や手間がかかっているところをAI弁護士アシスタントに担ってもらおうと思っています。
弁護士にとってはその分の人件費を削減でき、業務を効率化できます。また相談者の方はAIだとプライバシーやプライベートなことも気軽に相談できるメリットがあります。相談内容が固まり、いよいよ本当に法律トラブルを解決したいという段階になって初めて、本物の弁護士に手助けしてもらう、そういう流れを想定しています。
相談によってはAI弁護士アシスタントだけで完結できるものもあるかもしれません。そういうのは本物弁護士が監修して手頃な手数料で解決に導いてくれることを期待しています。」