- 事務所名:
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kirpi行政書士事務所
- 代表者:
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大髙坂愛子(行政書士)
- 事務所エリア:
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東京都練馬区
- 開業年:
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2022年2月
- 従業員数:
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約3名
目次
Q.士業、行政書士の業界の現状をどう認識しているか?
「思ったより縦社会といいますか、開業は自由という前提がありつつ入ってみるとやはり社会の上下関係がしっかりしているという印象です。また、行政書士として成立するためには、永田町との関係とかもあるんだなということも少し感じました。ただ、別にそうした現状があるからといって、自分自身で”こうしなきゃ”ということは特に感じず、自由にと思っています。業際を守らなければという意味では、横のつながりについても気にしてはいますね。
また、行政書士は男性が多いな、と入会してからより一層感じました。自分の検索パターンなどもあるかもしれませんが、SNSを見ると意外と女性が多いのではないかと思っていましたが、行政書士登録の会場へ行った時に女性は1人だったんですよ。2月でしたので登録者が割と少ないタイミングではあったのですが、私の所属する練馬支部は60代〜70代くらいの男性が多いですね。
業務に関しては意外と自由だなと感じました。どうしても文章や情報だけですと、許認可か民事法務かという印象で、選択する業務から絞られていくというのが頭にあったのですが、色々な方を見ていると自由ですし、やり方によっては枠に収まらずにもっと広い視野で、色々出来るんだなという可能性は感じました。行政書士試験に合格して登録を考えた時、開業準備中に何をしたら良いのかを調べると、相続や建設業などの花形を学ぶと良いという情報がありましたので、最初はそうでなければなければやっていけないのかな、と感じて実務講座なども見てみたのですが、ちょっとしっくりこなくて。」
Q.飲食業界に専門特化した背景とその効果は?
「元々型に嵌まるのが嫌で、学生アルバイトの頃から含めると飲食店での経験がトータルで10年〜15年ありましたので、後々にはその経験を活かせると良いなという思いはありました。当時はコロナ禍の真っ最中でしたので、飲食店の時短営業など大変な時期で助けてあげたいという思いもありましたので、建設業の本なども一応買ってはみたのですが、進めてみてもなんだかなという気はしていましたね。ですから、ちょっと違う風にやっていきたいなということは感じていました。
私の場合は飲食業専門の行政書士としてやっていこうというよりは、飲食店をサポートするために行政書士として登録したというほうが正確かもしれません。2020年の試験で合格して2021年1月に結果が出たのですが、1年間は宅建を取ろうと勉強していて開業は考えていなかったんですよ。ですが、コロナを背景に飲食店が集中的に営業を制限されている状況プラス、飲食店を複数店舗経営している方からお話を聞く機会があり、行政に対してどういう手続きを踏むことで支援が受けられるのか分からないでいるということを知りました。
当時は経営者目線で物事を捉えたことがなかったのですが、具体的にお話を聞いたことで直接的に行政書士の業務ではないのかもしれないけれども、私がやりたいのは多分こうしたことのサポートなんだろうなという風に思った時に、登録しようと考えたんです。登録して行政書士としてやっていって、士業として関わるほうが経営者の方から見ても信頼できるでしょうし、経験があるだけの人より箔がつくだろうなという考えもありました。こうした流れで事業復活支援金の登録確認機関に滑り込んだのが、飲食業特化のスタートだったと言えるかもしれません。色々な業務をやってみようかなという思いもありましたが、振り返ると最初から飲食店が中心にあったなと思います。
特化したことの効果ですが、最初は全然なかったです。ただ、コロナ禍で開業したこともあって当時はWEB会議システムでの交流が多く、例えば自己紹介を30秒でお願いしますと言われた時に、”行政書士の大髙坂です”だと名前にインパクトがあるとは思うのですが(笑)、それよりも何を専門にしたいかということをプラスαで伝えるようにはしていました。登録してすぐの頃から、何か機会がある度に”飲食店応援の行政書士の大髙坂です”と伝え続けたことで、皆さん頭の片隅に置いてくださっていたようで、徐々に個別でご連絡をいただくようになり、1年くらいかけて少しずつ効果が出てきたという感じですね。
お問い合わせの手段としてはSNSもありますし、人を介して繋がることもあります。それこそ今回のCROWN MEDIAさんからの取材もご紹介からですが、士業の先生方からもお声がけいただきますので、「飲食店関連は大髙坂さんだな」と一定程度求められているのかなと感じていますし、そういう意味ではちゃんと色が付いているというのはありがたいですね。」
Q.飲食業界にはどんな特色があるか?
「コロナ禍で一旦廃業してしまったところに、今新たにお店が入ってくる、こうした飲食業界はスタートしやすい、参入しやすいというポイントは1つあるようです。今は飲食店従業員だけどやはり自分のお店を持ちたいという一定のニーズが昔からあって、それが今来ているという感じで、新たに挑戦したいというご相談が最近多いですね。ただ、他の事業をやっていて、プラスアルファで飲食をやりたいという会社さんや、独立して自分のお店を持ちたいという方など色々なパターンがあるのですが、3年続かないということが多いのが現実でして。
思っていたのと違う、というギャップが絶対に出てくるので、そこはお伝えしながらサポートしています。例えば店主が1人でやっている場合、ずっと拘束される訳ですからね。仕込み・仕入れ、お掃除もやって、寝る以外は全部お店に居ないといけないという状況で、楽しいんですけどね、実際に私も片手間ながら今も飲食店経営に携わっていますし、楽しいとは思うのですが、ご相談いただいた際にはそうしたことが苦にならないかという確認や、現実はこうですっていうところはお伝えするようにしています。
行政書士としての業務は、飲食業界に特化した補助金申請のご相談が1番多いですかね。申請書を作る過程で事業サポートに派生して、他の業務にもつながっていくという感じです。風営を専門にされている先生も入れると、飲食業をメインにしている先生は多いのですが、私は風営の経験はなくて、居酒屋さんなどの一般的に”お店屋さん”というイメージがあるほうへシフトしている気がします。
ご相談の中身としては言語化されていない悩みが多いですね。とりあえず話を聞いてください、から入って、結局どうしたら良い?といったように、現状を把握されていない方が多いです。数字だけを見て今は売り上げが落ちているんですよ、でも新たにこういうことをしたいんですといったことや、それこそ補助金の話なども聞いてあげた上で、つまりこういうことですか?と文章などで可視化してあげると、そういうことなんだ、じゃあこうする、といった感じで、意外とコンサルに近いことをしているというのが正直なところです。オープンまでは色々と調べたら初心者でも割と簡単に始めることができますが、それ故にその先が分からないという方もいらっしゃるんですよね。でもその先は立地や店主さんの考えなどに左右されて、やり方が千差万別すぎるのでマニュアルはない、そこで悩んじゃうっていう方のサポートが多いです。
私自身は全く関与していないので少し話が外れますが、毎日通る場所に飲食店が2店舗オープンしたんです。両隣に位置していて、どちらも居酒屋さんっぽい、しかも両方がスケルトン物件だったのでかなりの工事費が必要だったと思うのですが、同じ時期に開店した2つの店は段々お客さんからの見え方が対照的になってきました。実際に行ってみると両方とも味は美味しいのですが、恐らく店主さんの考え方というか、最初のお金の使い道で差がついちゃったのかなと思うと、“飲食に特化した行政書士です”と乗り込んだりはしないのですが(笑)助けてあげたい、ともどかしい気持ちになったりはしますね。やはり仕事をする上でこういうおせっかいな気持ちが自分の根幹にあるんだなって改めて思いました。」
Q.飲食業界、士業、行政書士の未来予測は?
「飲食業界はコロナ禍で3年間苦しみましたが、今後は取り戻せると思っています。ただ、業界に関わっている士業は今までのやり方では難しいのかもしれません。AIに代替されてしまうかもしれない職業ということもあり、人間的なものがより大事になってくるのではないでしょうか。
例えばお店に伺った時のちょっとしたアドバイスや、良いところを見つけて褒めてあげるなど、私もそうですが自分たちでAIに絶対できないことを考えて、それを伝えていくということは、多分今後は今までにないくらいやっていかなきゃいけないところなのかなっていうことは感じています。専門特化していくには日々学ぶということが何より大事ということもひしひしと感じております。」
Q.これから生き残っていける士業事務所の条件とは?
「あまりにも専門特化していると、どうしても視野が狭くなってきそうだなと思うので、他にも自分ができることを探して視野を広げて、もっと特化している分野の専門性を高めたいという気持ちはあります。そうやって生き残っていくためには、ある程度の柔軟性や、日々の行動力、内に篭っているだけじゃなくて、ちゃんと前に行くことが大事で、行かないといけないと感じますね。そうでなければ、先に行く人に自ずと取り残されちゃうと感じているので、焦ってはいませんが大事なことだと思っています。」
10年以上の飲食店等(定食屋、焼肉屋、小売店、アパレル…)の従業員経験を活かして、日々の営業に忙しい店主の方の右腕になる!と決意し2022年2月に行政書士登録。
コロナ禍で大打撃を受けている飲食店を応援するため、お困りのことを丁寧にヒアリングし、それらに合った補助金の提案から申請のお手伝いを主に従事。
事業者さまのやりたいを一緒に!をテーマに行政書士業務の枠を超えて寄り添った対応を心がけている。