新世代のSNSメディア戦略:あやなみ行政書士事務所 宮城彩奈氏

新世代のSNSメディア戦略:あやなみ行政書士事務所 宮城彩奈氏

事務所名:

あやなみ行政書士事務所

代表者:

宮城彩奈(行政書士)

事務所エリア:

横浜市

開業年:

2016年8月

従業員数:

3人

Q.士業のSNS活用の現状について、どう感じるか?

私は士業の中では割と早い段階でYouTubeを始めていると思うのですが、最近久々にYouTubeで「行政書士」と検索したら同業者や受験生が凄く増えていて驚きました。他士業にはそれほど詳しくありませんが、全般的に見て個性をアピールできる場が増えましたし、個性を売りにしたり、何かを表現したりしている人が多くなったと感じています。凄く良いことだと思う一方、直接の集客という面で効果があるのかという点については疑問で、検索した際にもあえてそういう視点で見てみました。趣味利用であればどうこうではありませんが、これは私自身が運用してきた中で感じていることでもありまして、YouTube含むSNS全般を「何を目的として活用するのか」についての方向性がぼやけやすい傾向にあると思っています。私自身の場合YouTubeは直接的な業務獲得を主な目的としておらず「リクルーティング」、女性経営者ということから「多様なワークスタイルの発信」を目的としています。お題は戻り、もし、何かしら仕事をSNSで獲得する目的があるという方がいるのであれば、全体的な発信内容は仕事獲得に向いている発信ではないように見受けています。

周りのお話を伺っていると、外国人業務についてはYouTubeやTikTokの動画系SNSと相性が良く直接仕事に繋がっていることが多いようですが、日本人を対象とした業務に関する情報発信から問い合わせ、かつ仕事のコンスタントな受注に繋げるのは難しいと私自身は思っています。そういう面で上手く使えている人は少ないのかもしれません。一方で、動画で専門性のアピールが上手だなと個人的に思っている方もいます。業務に関する動画で集客もしつつ、行政書士向けの動画も交えてバランスよく実務の話題も取り上げているので、そういう使い方であれば凄く有意義と思いますし、仕事獲得目的で利用するのであればうまく運用している人を参考にされるのがよいと思います。」

Q.SNSを活用しようと考えた経緯と背景は?

「開業後最初にアカウント開設したのはTwitterで、次にYouTubeでした。実は消極的な理由で、会社を経営している友人に勧められて、とりあえず始めたんですよ。Twitterに関しては2016年に始めて、当時から士業アカウントもちょこちょこいたものの、利用者の総数がそれほど多くありませんでしたので、今ほど人とつながることができる印象はなかったです。今でこそ数千人台のフォロワーがいるアカウントは珍しくありませんが、当時は数百人程度が割と普通でしたね。私も当時はSNS投稿は習慣にもなっていなくて”無理矢理やらされている感”がありました。YouTubeは2019年に始めたのですが、私はホームページなどのSEO対策などが凄く苦手なことと、ホームページを更新する努力もあまりできるタイプではないので、テキストベースで読んでもらうのは難しいと思い、当時はあまり取り組んでいる競合が少なかった動画を選びました。1本目を上げたら友人がそれを発見して、「もっとやればよいのに!」となって。当初は、起業したい方向けの許認可解説的なことから始めたという感じです。最初はそれこそ集客が出来れば良いなと思っていたのですが、1本” 【経験談】コネなし・即独立・起業の営業について話そう。【行政書士】”という同業者向けの動画を撮ったら当時は凄く人気が出て、お客様に向けた動画以外にこういう需要もあるんだなと思いました。」

Q.SNS活用の効果は?

「当時はチャンネル数が少なかったということもありますが、女性行政書士で動画を始めたのが早かったため、先輩も含め士業で私のことを知ってくださる方が凄く増えました。また、直接の業務のご依頼はそれほど多くはありませんが、割と大手の企業さんがYouTubeを見てくださって、それがお仕事につながることは結構ありましたね。写真だけでは伝わらない、動いて話す姿を事前に知っていただけているので、初めて話す時にも割と抵抗がないということもあるのではないでしょうか。あと、過去3回の求人募集について2回はYouTubeからの採用でした。」

Q.SNSの運用で気をつけている点は?

「どんなことでもそうですけど、結構試行錯誤という感じで。YouTubeの撮り方については、行政書士の日常のようなプライベートを含むものや会談の際は、身体の動きを付けるように気をつけています。私は割と口調が平行なタイプで、淡々と喋っているだけだと見てくださっている方も飽きちゃうと思いますので、リアクションを大きくしたり画面上を動いたり、シーンの切り替えや背景が変わることでも動きは作り出せるので、そういった工夫はしていますね。台本については、日常系は言いたいことをピックアップして話す程度ですが、業務に関係した情報の解説については間違いが怖いので台本がないと無理です。

発信内容については、無難な話になってしまうかもしれませんが、炎上じみたことは起こったことがないんです。それこそ世間的なある程度の常識というかラインって分かると思うんですよね。なんとなくでも「こんなこと発信したらさすがにダメだな」という感覚が分からないと、運用は結構疲弊してしまうのではないかと思います。時に思い切った発信は大事ですけどね。」

Q.SNS運用を成功させるためには何が必要か?

「お客さんの集客をしたいのか、またはフォロワー数という数字による魅せ方を目的にするのかなど、自分が何を求めているのかにもよりますが、直接お客さんの集客をしたいということであれば試験受験の話や同業者向けの発信ですとターゲットが違うため集客という面では弱いです。自分が動画含むSNSを使って何がしたいのかということを、改めて考えてから取り組んだ方が良いと思います。特に動画は大変なので撮影時間や編集時間・お金をかけてやる労力を天秤にかけて判断が必要だと思います。」

Q.士業のSNS活用未来と生き残るための条件は?

「私は結構今を生きる感が強く、未来を聞かれると凄く反省するタイプなので無難なお話になってしまうかもしれませんが、YouTubeでもショート動画がとても流行っているため、直接的な集客は長尺動画よりショート動画の方が良いのかもしれません。

SNS全般の活用に関しては、今後も各SNSに士業アカウントが増えていく状態は続いていくだろうと思っていますが、何度も言うようですが「目的を持つ」ということはとても重要です。〇〇行政書士など士業は割と肩書きを付けることが最近多いですが、キャラ付けなどで印象を残すことで、趣味利用であったとしても同業者や他士業に覚えてもらえて思わぬ繋がりや紹介が生まれる効果もあると思います。」

宮城彩奈 プロフィール

高校卒業後、新卒で就職するも挫折。フリーター時代を数年送るが「行政書士」という独立向き国家資格を知り、法律初学者で受験を決意。4度の受験を経て平成27年度行政書士試験に合格。平成28年に横浜市にて即独立開業。

開業以降、建設業・宅建業・酒類販売免許など企業の許認可取得をサポートする業務をメインとした事務所経営を行い、現在は大手企業などを顧客先とした許可取得後の会社運営についてのアドバイスなども担当する。

また、YouTubeチャンネルを開設し、独立開業・事務所経営・取り扱い許認可の解説動画などを投稿。これから開業する予定の資格者や、許認可に関係する企業からの定評がある。