- 事務所名:
-
行政書士宮本えり事務所
- 代表者:
-
宮本絵理
- 事務所エリア:
-
東京都品川区
- 開業年:
-
2021年4月
- 従業員数:
-
1名
目次
Q.士業、行政書士の業界の現状をどう認識しているか?
「私は業界のことを知らずに行政書士として開業したもので、どういう目線で答えたら良いのかなと思ったのですが、開業してから2年ほどが経った今、世の中では行政書士という職業の認知度が凄く低いものなんだなと感じているところです。やはり、弁護士以外の士業は皆さんあまり区別がつかないようで、許認可の関係でお仕事を依頼してくださる方から”先生、登記お願いします”ですとか、あるいは”確定申告できますか”と尋ねられることがあり、いやいや出来ませんと(笑)。そうか、普通の人は違いが判らないんだなと改めて思いました。
これは一般の方に限らず、税理士さんからも”登記お願いします”と言われたことがありますので、特に行政書士の認知度は低いんだなと感じました。これほど知られていないとなると、私は行政書士の仕事が好きなので個人的にもっと知ってもらいたいと思いますし、行政とのやり取りで困っている方が沢山いらっしゃるということも実感していますので、行政書士にできることをもっと知ってもらって、頼ってもらいたいなという風に思っています。」
Q.現状、貴事務所が永続できている要因はどこにあると考えているか?
「まだ2年ではありますが、自分を知ってもらうための活動を地道にしてきたというところでしょうか。SNSやリアルの活動など色々な方面で、まずは私が行政書士であるということと、私という存在や私に出来ることを地道に知ってもらうための活動をしてきました。
また、最初は武器になるものや経験がどうしても無いので、業歴の長い先輩には勝てませんから、その状態で出来ることは何かといえば一所懸命お客さんに寄り添うことかなということは、最初から思っていました。”寄り添い型行政書士”として、正直結構お値段以上というとあれですが(笑)細やかなサポートをしているつもりですし、こうした点は評価してもらっているのかなと感じています。
元々自分自身が心配性だということもあるのですが、手続きとしては申請書を出して許可を取れば良いという話かもしれないところも、お客様のお話はまずしっかり聞くようにしています。関連して考えられる心配事などを、色々と連想しちゃうんですよ。お話の中でお客さんがぽろっと言われたような、ご依頼の本筋とは関係ないかもしれないけどここも気をつけないと、もしかしたら他のことで大変になっちゃうかもしれないというようなことを、拾っては分からない事は調べてお伝えして、と最初のころは要領悪くやっていました。
会社設立のご依頼があった際、現時点では必要なくても先々のことを考えて他士業の先生をご紹介することもあります。例えば株式会社を設立したいけれども、雇用や従業員の事などお話されているが社労士の先生には相談していないというので社労士の先生をお繋ぎして、法人成りの際や設立した後の税務面についても知識がないと仰るのでそればまず税理士さんに相談してからにしましょう、と税理士さんをお繋ぎして、そして登記は司法書士さんなんで定款作成から司法書士さんにお願いしましょう、と司法書士さんをお繋ぎして、結局私は各士業お繋ぎしただけで何もしていない(報酬頂いていない)、という事もあります。
会社設立のように分かりやすく他士業との関連があってお繋ぎするケースだけでなく、ご依頼頂いている業務範囲外に渡っても気になる事は自主的にお調べしてお伝えする方針で進めています。沢山案件を抱えるとそこまで幅広いサポートには時間を割けなくなってくると思うので、今は新人としての特色の1つ、サービスの1つかなと考えています。ただ、あまりにもやり過ぎてしまうと事業そのものが成り立っていかないので、今後は有料・無料のサービスの線引きも考えていかなければいけないと思っているところです。
最後に、これは開業当初からではなく途中からなのですが、専門特化というか、1つこれが得意だということを作ってアピールしていたので、認知してもらえたということもあると思います。」
Q.化粧品業界にはどんな特色があるか?
「同業の先生からも、どんな事業者さんがいるのか聞かれることがありまして、化粧品を売っている会社といえば昔からの大きな会社さんをイメージされる方も多いんでしょうね。実際には、私が許認可などのお手伝いをしている事業者さんは結構多業種といいますか、化粧品の販売をメインにやっている会社さん以外にも、関連するような美容系であったり、別の事業に付随する形でオリジナル商品を出してみたいと化粧品の製造販売を展開される会社さんも結構多いです。
例えばエステサロンを経営していてオリジナルの商品を販売したいというケース、美容室などサロン系は結構こういうことが多いですね。あとは健康食品や美容機器を販売している会社さんが、近しいジャンルの別事業としてやりたいということもあります。また、最近は輸入コスメが凄く流行っていますので、法人だけではなく許可を取る取らないは別として、個人も参入している業界ではあります。」
Q.化粧品業界に専門特化した背景とその効果は?
「そもそも私は行政書士としてやりたい業務というものが、一切なかったんですね。行政書士としてやっていきたいという気持ちはあったのですが、じゃあ何をやるかということは全く決めずに取り敢えず資格を取ったという感じでした。開業後もまだ実務をやっていないので分かりませんし、決められないなと思っていて、1年くらいは色々やってみて決めようと思っていたんです。化粧品に関する許認可業務があるということは開業してすぐに知りました。
美容が好きだったので、まず興味はあるな、やってみたいなとは思ったのですが、なにしろ情報がもの凄く少なかったんです、周りに業務として取り扱っている人もいなくて。そんな中で開業してすぐに何も知らない状態で手をつけるというのもなぁという風に思いながら、考えていました。実際に幾つか業務をやりながら、これからどんな業務をやるのかを選ぶ基準を考えていて、どういう業界を支援したいかという目線であれば、やはり私は美容だなと思ったんですよね。
幾つか経験した中でやはり美容だなと思った経緯としては、個人的に美容が好きだということと、綺麗になるとやはりテンション上がるじゃないですか。美容室へ行けば綺麗になってキラキラってなるし、そういう美容業界を応援したいという気持ちがありました。また、元々化粧品の会社に勤めていた訳ではないのですが、学生の頃に化粧品会社の開発事業部に就職したいと考えていた時期があったことや、メイクアップアーティストもいいな、と考えていた時期がありました。実は最初の就職先は美容室で、メイクアップアーティストになるためには総合的に美容を学んだほうが良いだろうと思い、美容の短期大学へ行って、卒業してからは4年ほど美容室に勤務していました。
その後は仕事の在り方や人生について考えが変わり、全く違う企業に就職したのですが、関わり方は違うけれどもやはり美容の業界に携わってみたいという気持ちもあり、今に至ります。結果として、凄く楽しいですね。やはり自分が興味のある業界や、支援したいと思う業界でなければなかなか勉強も大変だと思うのですが、学ぶ事も全く苦ではなく本当に楽しいです。お客さんの相談も様々な事業計画を聞かせて頂き、私自身も毎回新たな発見や気づきがありとても興味深いので、この業界、業務を選んで良かったなということは、凄く思っています。
専門特化する前後で1番変化したことは、周りに”この人は化粧品の業務をやっている”という風に段々認めてもらえるというか、分かってきてもらえると、紹介でお仕事もいただきやすいですし、他にやっている人がいないので同業者からのご紹介も凄く多いんです。今回CROWN MEDIAさんから取材していただいたのも、ある種その中の1つだと思いますが、他にいないからということでお話をいただきやすいということはあって、それは良かったなと思っています。」
Q.化粧品業界を取り巻く士業の業務は、はどのようになっていくと考えているか?
「個人的には、やっている人が凄く少ないので同業の方にもっと興味を持ってもらって、一緒に研鑽していく仲間が増えたら良いなと思うのですが、業務内容的に色々と細かいですし、幾つかある取り扱い業務の中の1つという感じでやるのは難しいというか、大変だと思うんですよね。ですから、ガッツリ専門でやっていかなければお客さんのサポートが難しいという意味では、どうでしょうか、というこころではあります。
そもそもこの業務を知らない人が多いので、少しでも興味があるということであれば、一緒に勉強する機会を作っていきたいな、とは思っています。」
Q.化粧品業界の未来予測は?
「化粧品業界も含めて大きく美容業界とさせていただくと、絶対に今後もなくならない業界だと思うんですよね。”美”ってどんな状況でも、やはり世の中の人にとって永遠の課題というか、追求したいというところはあると思いますので。一時期はコロナの影響で化粧品の物販だけでいえば3年ほどは出荷量が少ないなどの落ち込みがあったようですが、今は凄く盛り返してきていて、なくならないし絶対に伸びると思います。
近年、男性の美意識が凄く高くて、化粧品に限らずエステサロンなど男性用の美容サービスについても凄い勢いで増えていますから、そういったマーケットにも期待できますし、化粧品とは少し違いますが、フェムケアなど女性特有の悩みに対するケアも結構出てきています。あとは医療系になりますが、再生医療系の美容クリニックなど、付随して広がるものが多くありますし、美容を追求すると健康も関わってきますので新しいことも出てくるんじゃないかなと。実際に私もどんどん新しい話のご相談を受けています。」
Q.これから生き残っていける士業事務所の条件とは?
「士業というよりは、1人の人間として頼ってもらえる、選んでもらえる事務所というか、選んでもらえる人である必要があるのかなということは、常日頃思っていることです。昨今はデジタル化が進む中で、AIに取って代わられるという話もよく出ますし、それこそ本当に色々な方も言っておられるように簡単な作業はAIがやってくれたら良いことなのですが、お客さんの話を聞いて交通整理をしたり、冒頭の”寄り添い型”に通じることでもある潜在的なご要望への対応は”人”の重要な仕事ですよね。お客さんの中にある不安や希望をお聞きして、それに合ったサービスを提案、提供できるということが、人のやることとして重要なのかなという風に思っています。
また、私が専門としている薬機法関連の業務では、手引きなどはほぼありませんので、法改正や細かいことを調べる時に、行政のホームページや関係法令、通知などを読んで整理していかないといけないため、正直一般の人には本当に難しいと思うんです。そこに行政手続きのデジタル化、オンライン化の流れが相まって、実際にお客様がご自身でやってみたけどギブアップ、と途中から調査と作業をバトンタッチした事もあります。
解りやすい手引きがあって、行政窓口に行って聞けば出来るような手続きであればご自身でやったら良いと思いますが、そこがまず何から何をどう調べて良いのか判らないという状態ですので、やはり行政書士としては法令調査力や困っている人をサポートできる能力は絶対に必要かなと思っています。」
行政書士宮本えり事務所
第一子の出産後、育休取得中に行政書士という資格に出会い、魅力を感じ、独立開業を目指して受験を決意。
2021年に行政書士宮本えり事務所を開業。
化粧品事業の新規参入を支援する行政書士として活動開始。
【お客様の「叶えたい」を実現する行政書士】として、「それでは無理ですよ」ではなく、「厳しいけれどこうしたらできる」という方法を一緒に考えていくことを心がけている。
モットーは「キレイで世の中を幸せに」。
化粧品業界のサポート通じて、キレイになってテンションが上がり「よし、今日も頑張ろう!」と思える人を増やしていきたいと思っている。