オフィスステーション Pro の選ばれる顧客志向の”設計思想”:株式会社エフアンドエム 東野 光宏氏・渡辺 尚人氏・相澤 翔子氏

オフィスステーション Pro の選ばれる顧客志向の”設計思想”:株式会社エフアンドエム 東野 光宏氏・渡辺 尚人氏・相澤 翔子氏

事務所名:

株式会社エフアンドエム

代表者:

代表取締役社長 森中一郎

事務所エリア:

大阪・東京・名古屋・福岡・仙台・札幌・沖縄

開業年:

1990年(平成2年)

従業員数:

686人(2023年3月末現在・連結)

Q.社会保険労務士・士業の業界のDX化やAIについてどう感じているか?

相澤 社労士の先生方とお付き合いをさせていただく中で、やはり社労士事務所における人手不足が大きな課題だと感じています。それこそ極端な話、後継者がいないという先生もいらっしゃいますし、これは一般企業についても同じだと思いますが採用の募集をかけてもなかなか人が集まらないなど、社労士の先生方は人材の確保について課題を抱えておられるようです。人手不足解消といった課題においても、社労士事務所にとってもDX化は必須だと考えております。

横須賀 人の手が足りないから、余計に業務効率化の必要性を感じているということですよね。特に士業の採用は少し特殊で、資格者の採用となるとポテンシャルだけでは難しい側面があります。

相澤 仰る通りですね。弊社も『オフィスステーション』という手続きシステムを使って業務の効率化を支援させていただいておりますが、先生方も色々と工夫なさっていて、特に給与計算においては一部の業務をアウトソーシングされていたり、同時にRPAによる自動化にも凄く興味をお持ちです。今この辺りの支援体制も検討しており、より一層『オフィスステーションPro』は社労士業界に旋風を巻き起こすツールになるのではないかと思っております。

東野 社労士業界におけるDXについては、いわゆる保険手続きの分野ではDXとまで言って良いのかということはあるにせよ、電子申請という文脈の中でデジタル化していますという先生は業界の半数ほどなんですよね。もちろん残りの半数が単純に出来ていないという訳ではなく、戦略的にやっていないということもありますが、とはいえ社会のデジタル化はどんどん進んでいて、行政手続のオンライン化を100%に近づけたいという国の思惑もある訳ですから、やはり士業の先生方は国の方向性について行かざるを得ない状況なのではないでしょうか。そうした中で半数が電子申請にすら対応していないというのは、業界として大きな問題ではあるんだろうなと。そこを弊社のようなベンダーがもっと後押しできるようにしていきたい、それが使命だと思っています。これは某企業の代表から伺ったお話ですが、ChatGPTを代表とするAIの進化により、今後UI・UX(ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス)が激変していくことが予想されていて、対話型のUI・UXが完成していくと、これまでのように何かをクリックしてパソコンに指示を出すという手間を毛嫌いしていた人達が、ただ喋ることで色々な業務を出来るようになっていく未来が見えてきているということなんですね。そうすると、業界のみならず本当の意味でDXしていくんだろうなと思います。そうなれば、恐らく士業の先生方もコンサルティングを通じて社会課題や企業の本質的な課題の解決に力を注げるようになるでしょうから、ChatGPTを代表とするAIにはとても興味を持っていますし、期待もしていますね。

横須賀 本当に士業は勉強する時間が不足していて、作業に追われていると勉強ができない、でもコンサルティングには新しく勉強する必要がある、そういう時間を確保するためにも効率は必要です。

東野 そうなんですよね。まさに弊社はそのためにシステムを作っておりまして、今までの作業のやり方を変えて新しい時間を生み出してもらって、新しい価値を提供するという循環をつくることが、我々も社会貢献が出来ているという1つの存在意義に繋がっていくと思っています。

横須賀 実際に社労士さんとリアルな場でお会いした時の姿勢などはいかがでしょうか?積極的な感じなのでしょうか?

渡辺 何か見えない恐怖に慄いているという印象を受けます。仕事を奪われてしまうんじゃないかという。結局、やはり使う側に回っておられる方は非常に数が少ないなという印象で、DXという言葉を使うとするならば、弊社の提供するようなサービスによって効率は生み出せている、だけどそれによって新しいものを創り出せているかというとそうではない、ただ世の中のツールはどんどん進化していく、そうなると自分たちの仕事が奪われるんじゃないかということで、まだ見ぬ未来にワクワクすることなく、逆に恐怖しているということが言えるのかなとは思いますね。ただ一方で、イノベーター的なポジションの方々も社労士業界にいらっしゃいますので、それはこちらのCROWN MEDIAでも取材なさっていた株式会社Flucleの三田さんであったり、私の知っている他の事務所さんでもChatGPTを積極的に活用していくことで何か生み出せるんじゃないかというような動きをされている方など、もちろんかなり少ないですがいらっしゃるのも事実です。そうした方々が何かしら成功の形を見せることが出来れば、イノベーターの次のアダプタ的なポジションの人達がそこに追随していくような流れになるんじゃないでしょうか。構造的には変わらないんですけれども、やれることを誰が開発するのかということを、ちょっと恐れながら見ている、そのような感じかなと思います。

横須賀 ただ、このスピード感は過去最高ですよね。私が独立開業した2003年には既に電子申請で仕事が無くなるという意見がありましたが、20年後の数か月間でよりスピードが上がったなと凄く感じます。

渡辺 2015年〜2017年あたりに、世の中の進化のスピードは先生方が想像している以上に早いですよというセミナーをよくやっていたんですよ。それこそ世界の時価総額ランキングの10位以内に日本の企業がいっぱい入っていたような凄い時代があったのに、もう今なんて30位くらいにやっとTOYOTAがいるという世界じゃないですか。そう考えた時にMeta社はFacebookとして創業して今年で何年目ですかという話で、もの凄いスピードで進化しているということは、この例だけを見ても解る訳です。つまりこのスピードは多分、早まることはあっても遅くなるようなことは、意図してやらない限りは考え難い、そうなるとやはり打ち手を考えるスピード感も早めていかないといけない、自分たちの方向性や、どのツールを使ってどういう戦略を採るのかという変換についても早々にやっていかなければならなくなる、経営のスピード感というものも早まっていく訳です。私はこれを当時から言っていて、ある意味で未来予測通りに進んでいるので、あの時にそんなことを言っていたなと感じ取ってくれているような感度の高い先生は、きっと更にご活躍される方なんじゃないかなという風には思いますね。

Q.「オフィスステーションPro」とは何か?

横須賀 全く知らない人のために、具体的に出来ることを簡単に挙げていただくとすると、どんな機能があるのでしょうか。

相澤 まずは手続きの電子申請ができる機能ですね。先生方が3号業務に着手したいと思っていらしても、やはり独占業務であるメインの1号2号業務がありますので、そこをいかに効率化していただけるかというところでご提供しております。ちなみに、電子申請対応帳票数は業界ナンバーワンです。

東野 『オフィスステーションPro』とは何かというご質問に対する答えとしては、顧問先の企業と社労士事務所のあり方や繋がり方を変えるためのツールだと思っています。社労士の独占業務である1・2号業務、その部分でどのように顧問先とお付き合いしていくかということは絶対に不可避なテーマです。デジタル化が進んでいない事務所は、お客様が使っているからとFAXで情報のやり取りをしていたり、訪問して書類を回収したりされている。一方で、もうデジタル化やDX化が済んでいる企業はFAXを使いたくないし、もっとクラウドで情報をやり取りしたい、業務のあり方や時間の使い方を変えたいと思っています。人口ピラミッド的に言うと世代交代がここから急速に進んでいって企業の若返りが図られていくので、今後はそういうニーズは増え続ける中で、旧来的なやり方を好む先生だと、企業のニーズを満たせずに、結局会社側が犠牲になっているという見方も出来ます。こうしたギャップをどうすれば無くせるのかということを常に考えているのが『オフィスステーションPro』です。先生方が本当に顧問先様へ提供したい価値を提供できる時間を作っていただけるツールなんです。また、別の視点で言いますと弊社はビッグデータを集めることが出来ますので、それを先生方に活用していただけるような機能開発を進めておりまして、本当はコンサルティングや3号業務と言われている分野で力を発揮できる筈の先生方が、効率の問題等で今は残念ながら力を発揮しきれていないのだとすれば、その課題を解決します。

Q.「オフィスステーションPro」開発の背景や効果は?(開発理由や結果)

渡辺 弊社は元々、『F&M Club』という公的制度活用・人事・労務・財務・IT活用などのバックオフィスを支援するパッケージサービスを提供していることから、社労士の先生方と間接的な関わりを持っていました。私共は国家資格を持っている訳ではなく民間事業会社であって、例えば助成金の情報をお知らせすることができても申請することはできませんので、そうした時に社労士の先生方と地域連携することで企業サポートを一緒にやっていこうという構図が、そもそもあったんです。この繋がりの中で、社労士の先生方が今後は3号業務、いわゆるコンサル領域に力を入れていきたいということが語られ始めた時期とちょうど重なったこともあり、とはいえ新規のお客さんをなかなか増やせないんだよね、業務の効率を上げられないんだよね、といった色々な課題も同時によく分かってきました。そうであれば、社労士の先生方と親和性が高く、コンサル領域に近いサービスである『F&M Club』のコンテンツを再販できる仕組みに変えて、社労士の先生を通じて顧問先に販売展開できるような仕掛けを作れば、お役に立てるのではないかと考えたんです。例えば何かの診断をして報告書として上がってきた時に、要は診断報告書って課題を見える化するものですから、その課題を解決するためのコンサルティングをやっていきましょうという動きができますよね。このような形に『F&M Club』を変換して横展開するという風に提供し始めたのが最初で、これが2012年の話です。これでかなり社労士の先生方とお付き合いが深まったのですが、そうこうしているうちに3年ほどが経過して、マイナンバー制度が導入されました。これが社労士の先生方のまさに独占業務である労務手続きと確実に紐付けなければいけないということに加え、マイナンバー法によって特定個人情報として個人情報保護法よりも厳格な保護措置が必要だという情報が舞い込んできた訳です。当時はコンサルティングの提供によって色々な相談を受ける立場になっていましたから、これはどう取り扱ったら良いのかというお問合せが結構ありましたね。そこで、弊社は『エフアンドエムネット株式会社』というシステム会社を子会社化していることもあり、クラウドという環境を活かしながらマイナンバーの運用管理を実現できるプロダクトを開発しましょうということで、先生方と意見交換をしながら『オフィスステーション』の前身となるシステムを作りました。これをどう展開しようかと考えた時に、当時は少なかったにしても既に社労士業界には数社のベンダーさんが手続きソフトを展開されていたので、それらと弊社のマイナンバー管理ソフトが紐づく形で展開できれば全ての手続きソフトに搭載される可能性がある、これはポジション的にもすごくウケるのではないかという1つのビジネスチャンスとしても捉えた訳です。しかし、蓋を開けてみると肝心の手続きソフトに満足していない先生が多いことがよく分かってきたんですね。

横須賀 多いというか、殆ど皆さんという感じですよね(笑)

渡辺 (笑)プレイヤーが少なくて競争原理が働いていなかったこともあって、いわゆるテクノロジーの進化についていく必要がないような、非常にガラパゴス的な状態になっていましたね。一部の先生方に詳しく事情をお聞きすると、全てに満足していないけれども使わざるを得ないので使っているという声が本当に多かったですね。そういう意味で、私共にはすごく期待を寄せていただいていて、ご相談をいただいていた先生方がもし協力してくださるのであれば弊社で開発に踏み切りましょうということで、生の声をいただきながら『オフィスステーションPro』の前身である『労務ステーション』を開発したという経緯です。結果としては、先生方の声を活かして開発したということもあり、業界として比較的高評価をいただきまして、特にこれから電子申請を初めようという先生方へはこれまでにないチョイスを提供できたということで当社プロダクトを選んでいただけるようになりました。当時の業務ソフトはプロ寄りの仕様で、初めて電子申請を体験する社労士の皆様にとっては分かり辛いものが多かったのではと推察していましたが、弊社は後発ですので楽天やAmazonで買い物をするようなリテラシーで、手続きの専門知識がなくても使えるようなUXを実現しようと形にしたところ、本当に開業して間もない先生でも使えちゃう、ベテランの先生でも使えちゃうということで、口コミ的にどんどん広がっていったような流れでしたね。

横須賀 マイナンバーの紐づけ管理から『オフィスステーション』の開発というのは、舵切りとして結構大きく変えた訳ですが、社内の反応はどのようなものでしたか?

渡辺 もう、中途半端にやるくらいだったら振り切ろうよという雰囲気でしたね。結果としてマーケットの声が背中を押したということもあります。ある意味でレッドオーシャンに突っ込んで行く感じのチャレンジであれば、正直それはNOだったのかなという気がしますが、当時の電子申請普及率は6%〜7%でしたからパイとしてはまだスペースが十分あるという状態で、チャンスのあるマーケットとして見ることができましたので会社としてのGOサインを取り付けたという感じでした。

横須賀 実際に使用した社労士からは、どのような感想や意見がありましたか?

渡辺 一番最初は「使えない」でしたね。世の中的に言うとβ版みたいなものをリリースしたということもあって、やはり機能が不足している、ここはこうあるべきだというお声をかなりいただいたというのが実態としてあります。

横須賀 逆に言えばβ版を出して意見を貰って、そこから作り込んでいこうという発想でもあったということでしょうか。

渡辺 仰る通りで、この時はもう基本的に走りながらというベースがありましたので、もっとそういう声をくださいという感じで、どんどん改修して足りない機能を補い続けていきました。弊社は結構開発スピードが早いのですが、それを実感していただける結果にもなりましたので、かえって良かったんですけれどもね。もう1つ、先ほどお話しましたネットショッピングのリテラシーレベルで使えるという点も、最初は受け入れられなかったんですよ。一画面で見えるほうが良いというご意見をいただいていました。これは結局、スイッチングコストのような捉え方をされてしまい、慣れた物の見方を変えることができないというお声だったんですよね。それに対して我々の強みをどのように見ていただけば良いだろうということで思いついたのが、「ネットショッピングをするのと一緒の感覚なんですよ」というご説明でした。業務の考え方として、業務としての在り方の価値を変えてみたところ、それが受け入れられたというようなエピソードです。

Q.「オフィスステーションPro」は競合他社との違いをどう考えているか?

東野 社労士業界のマーケットシェアとしては、現在もExcelをベースにシステムを提供している老舗のA社がトップです、これは提供歴が23年ということもあるでしょうね。次いで、クラウド版の社労士ソフトでは実績No.1とされているシステム提供歴17年のB社、弊社はシステム提供歴7年ながら既にB社とほぼ同等のシェアを獲得していますので、クラウド版という前提であればもう間もなくB社を抜いてトップシェアを取れる見通しです。B社との比較として、細かいことは省きますが弊社はAWSと契約していますのでクラウドサービスの開発環境が根本から異なっており、このあたりは例えばコロナ禍におけるリモートワークへのスムーズな移行などで顕著な差が出ています。不具合が起きてしまっているベンダーさんも多かったですからね。また、これは先ほど渡辺からもお話した通り後発ですので、UIデザインが最近のトレンドや見やすさを踏襲しやすかったこともあり、とっつき易いということはよく言っていただけます。更に、社労士業界に限って競合と比較すると、サポート体制についても高い評価をいただいているなと思います。

横須賀 士業は電話が多いですよね…そんな顔をしないでいただきたいのですが(笑)、その文化が良い意味で御社のサービスとマッチしたんだと思います、電話サポート神だよねって。

東野 ありがとうございます。確かA社さんに関しては電話サポートをやめてチャットのみになっていますよね。開発背景の話とも繋がるのですが、もともと作ろうとしていた時から電話サポートをとにかく充実させて欲しいというお声をいただいていたんです。もちろんコールセンターの運営にはマンパワーもお金も必要で、採用も教育も大変なのですが、そこへ果敢にチャレンジして、どうすれば高品質なコールセンター運営が出来るのかということには凄くこだわってやっています

横須賀 少し横道に逸れる感想ですが、その方向性は大正解だと思っていて、AIや自動化の方向では差別化が難しいんですよね、テクノロジーとデータと資金を持っている所が全てを持っていきますので。だったら人がやることのほうが私は差別化になると思っていて、でも皆さん面倒くさがってやらないので電話サポートは最高に良いと思います。今後は更に色々な会社が直接繋がり辛い方向へ行くでしょうから、敢えて繋がるというのは特に士業にとっても良いことでしょうね。それに5年も10年も電話サポートに頼り続ける訳ではありませんから、走り出しに必要なものを提供しているという点でも凄く良いなと思います。

東野 ありがとうございます。やはりシステムが不得意な方々にとってはこういうサポートが充実しているのが嬉しいと言っていただけますよね。実は、既に弊社のソフトをご利用いただいている先生が若手の先生や年配の先生から何を使うのが良いかと相談された時には、尋ねられている時点でもう苦手そうだなと分かる訳ですよね、そうすると『オフィスステーション』じゃないと無理だと思うとご紹介いただいたりもするんです。つまりお電話でのサポート品質がユーザーの方に認められているということだと認識しています。システム以外の部分、デスクトップ画面の外でどう差別化するのかという点は大事にしたいなと思っているので、横須賀さんのご意見は嬉しいですね、ありがとうございます。

横須賀 本当にすごく大事だと思います、やはり資本力のある所は強いので厳しい戦いになりますからね…まぁ御社はお金があるのかもしれませんが(笑)。会計ソフトでもなんだかんだでUIよりも電話がつながるところが好きだという人は沢山いますから、そこは時代と逆行しているように見えるんだけれども実は人間にできるサポートって重要だと個人的には思っています。

東野 そうですよね。私からはコールセンターサポートのお話をしましたが、相澤に関しては更に踏み込んだ運用提案、つまり、システムは既に使えているもものの、これをどうビジネスに活かしていくのかといったお客様の課題についてサポートする専任です。彼女が主導となり、オフィスステーションProのカスタマーサクセスチームを作り上げています。優秀な人材をどんどん投入して、お客様のご要望に合わせたサポートができるように、弊社は組織体制をブラッシュアップしていますから、このあたりも競合との差を開く1つの要因になれば嬉しいです。

Q.社労士・士業のDX化は、今後どうなっていくか?

渡辺 進むと思います。結局ChatGPTなどのAIは、持っている情報を取りまとめるのが凄く上手じゃないですか。だから画一的なことはどんどん自動化したり、人の手を介さずとも出来るようになっていく筈なんですよね、これだけはもう間違いないと思います。つまり、そこから離れて、あるいはそれを活かしながら生み出した時間を再利用していくようなことを考えていける先生でなければ、人の領域で仕事をできなくなってくる筈なんですよ。ただ、DXは絶対に進んでいくとは思うのですが、そうなった時に皆が対応出来るようになるかというと、残念ながら多分そうはならないと私は思っているんですね。そうなると必然的に進むのはM&Aということなんだと思うんですよ。各士業業界で高齢化が進んでいる中で、比較的リソースがあって、新しい試みに強い人まで雇い入れられるような大手事務所が、お客さんを持っているけれども引退していくような事務所をM&Aで買い取りながら大きくなっていく、その結果としてテクノロジーを活かした新たな仕組み・仕掛けをつくり、それによって生み出された時間を使った新たなコンサル領域にビジネスを見出していく、そういう構図が出来てくるように思います。要は、きっと社労士事務所の数としては減っていき、事務所あたりのサイズ感はどんどん大きくなっていく、そういう未来が待っているのかな、ということを考えたりしていますね。

相澤 私はDXを提供できる社労士事務所しか生き残ることが出来ないと考えています。DXは士業・企業を問わず皆さん求められていくことだと思っているので、ましてや中小企業をお客様としていらっしゃる社労士の先生としては、顧客がそれを求めるのであれば提案できるようになっていかなければニーズが減っていってしまうんですよね。それこそ極端な話、労務相談もChatGPTを使えば分かるという時代が来てしまえば相談顧問の企業は減り、事務所の存続に関わってくると思ったんですよ。そうした時に、やはり人に関わる部分のコンサルや、それこそ企業さんが今求めておられるDX化、業務の効率化を先生方が提供していく必要がある、つまりはDXの自社事例なども必要になってくると思いますので、これはもうDXをやらないと厳しいんのではないかという風に感じています。ただし、先生方だけでは顧問先様へのご提案が難しいということもあるかと思いますので、先ほど少しお話に出ましたカスタマーサクセスチームとして社労士の先生方と一緒に活動し、顧問先様へDX化の提案をおこなっているという形なんですね。具体的には『オフィスステーション』のアカウント発行という、先生方のシステムから顧問先企業様に直接システムを提供していただける仕組みがありまして、それはただシステムを提供するだけではなく、冒頭に申し上げましたように顧問先様にとっての社労士の在り方を少し変えるような、従来的な業務上の繋がりを超えて企業さんと繋がることができる仕組みになっております。このアカウント発行を通じた顧問先との新たな繋がり方の提供は、弊社としては他社との差別化になっているところでもあります。

東野 サバイバルできる社労士の条件、というようなお話をさせていただきますと、例えばこんな切り口かなと思いますのがSEやプログラマを採用できる事務所ではないかということです。こうしたことに強みを持っている人が、社労士資格などを取得していくと超強いなと思っていますね。渡辺からもお話した通り、業務の大量処理がどれだけ効率的に出来るのかが生産性に大きな影響を与えると思っていますので、そうなるとITリテラシーや顧問先への提案能力、業務のオペレーション設計能力、どんなシステムを使えばそれが実現できるのか次第で大きく変わるということなんですよね。ですからたとえ1人でも2千人クラスの企業に対応できると思うんです、そのあたりの知識と能力があれば。組み立てさえ上手ければ2人で2万人規模ということも、やろうと思えばできちゃうと思いますので、そういう人事戦略を取れる事務所はすごく強いなと思っています。

横須賀 実際ここ数年で、士業事務所が主体でない事務所も増えてきましたからね。もう株式会社が主体で事務所はなんなら併設以下になっている所まであるくらいで、一応は士業としての業務もしているけれども実質はプロダクトがメインといったような形は、新しいなと思って見ています。

Q.「オフィスステーションPro」の展望とこれから生き残っていける社労士・士業事務所の条件とは?

渡辺 少し細かい話になってしまいますが、先ほど東野からお伝えしたようなところですよね。私共が持っているデータは相当な量ですので、これをコンサルで活かしていただけるようなアウトプットがDX文脈以降で弊社から先生方へご提供できる1つの価値なのかなと思っています。現在、企業ユーザー様も含めて28,000ほどのご利用者様がいらっしゃいまして、手続き全般をカバーしていることから各企業様にお勤めの従業員さんはもちろん、ご家族などの情報も保有しておりますし、給与や賞与の金額データもございますので、例えば先生方の顧問先様の状況は都内の平均と比較してどうなのか、あるいは全国平均では、他にも業種でカットするということも可能ですし、色々な料理の仕方で相対的に事実という要素を提示できる、コンサル提供にあたっての良いツールになるのではないかと思っています。また、これからは人的資本経営についても企業サイズを問わず求められる時代になっていくであろうことは、アメリカの動きなどを見ても想像できるところですので、このあたりもデータを提供していくことでコンサルに繋げていくことが出来ると考えています。弊社としては、もちろん現在のプロダクトをより使いやすくする努力は当然として、これからも先生方が抱えている業務の中からシステム化できるような領域を見つけてどんどん着手していきたいですね。先生方の業務効率を上げて、空いた時間の利活用をご提案させていただけるところまで、私共がお手伝いできたら良いなという風に思っています。

東野 これまでは、部分部分でデジタル化を実現するような開発を進めてきました。マイナンバー管理や電子申請機能が代表例で、まさに部分最適だったんです。ここからは各機能を上手く組み合わせることで、総合的に社労士業界のデジタル化やDX化のコンサルティングサポートができるようにしたいです。社労士業務を支援するためのプロダクトについては、手続き、給与計算、勤怠管理、事務組合と、一通り揃ったと思っていますので、今度はそれらを組み合わせてより総合的な生産性を上げていくフェーズです。先ほど横須賀さんにお褒めいただきましたようなシステムでできないことをカスタマーサクセスチームによる運用や活用提案などに力を入れることで、よりお客様に喜んでいただきたいです。

相澤 私はどちらかと申しますとカスタマーサクセスという立場からの展望にはなってしまうんですけれども、東野が申し上げたような一気通貫の仕組みをご提供することで、業務の効率化だけではなく、その先にあるスピード感にも寄与したいと考えております。先生方が顧問先様へDXを提供していかなければならないといった時には、多岐に亘るニーズに合わせた対応が必要となりますので、その中で『オフィスステーション』というシステムに拘らず、例えば弊社が他のベンダー様と協業することでより幅広いサービスを社労士事務所様へご紹介、ご提供できるような仕組みを整えていきたいですね。先生方と一緒に伴走するような形で、更に顧問先様へのサービスや付加価値といったところを、お手伝いさせていただけたら良いな、という風に思っております。

プロフィール

東野 光宏

オフィスステーション事業の立ち上げメンバー。個人事業主、税理士事務所、社会保険労務士事務所、そして中小企業から従業員数10万人規模の大企業まで、さまざまな業界・業種にてコンサルティング経験を積む。現在は、「オフィスステーションPro」のさらなるスケールを実現すべく社労士業界を中心に活動中。

渡辺 尚人

2004年に新卒で入社。会計サービスのコンサルティング営業に従事した後、社会保険労務士事務所の経営支援を行う。2016年に労務管理クラウドソフト「オフィスステーション」をリリースし、以来同サービスをけん引。オフィスステーションシリーズはリリースから7年を迎え、2023年度労務管理クラウド市場シェアNo.1、2023年4月末時点で28,000社以上の導入実績となる。

相澤 翔子

約10年間、富士ゼロックスにて企業の様々なニーズに応じたソリューションを提案する課題解決型営業に従事。業界業種を問わず多くの経営者と交流をさせていただく中で、企業が抱える人事労務の課題を解決したいと2021年にエフアンドエムに入社。現在は、オフィスステーションProを通じて事務所業務の効率化、顧問先企業のDX化促進など、幅広い範囲で社労士事務所をご支援させていただく。